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» 2008年08月21日 00時00分 公開

最終回 ファイナンスの応用(5)保田先生! 600秒でファイナンスを教えてください(2/2 ページ)

[保田隆明,Business Media 誠]
JMA Management Center Inc.
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 これを押さえておけば、次章から展開する企業価値の話など理解しやすくなります。最近ではこのEBITDAは日本経済新聞の記事などにもよく登場しますので、経済記事がよく理解できるようにもなります。

 EBITDAとは、企業が「事業から稼ぎ出すチカラ(キャッシュフロー)」を簡便に表す指標です。具体的には損益計算書の営業利益に減価償却費を足し戻した数値です。EBITDAはEarnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationの略で、日本語にすると「金利・税金・減価償却費支払い前の利益」となります。

 損益計算書の説明で用いた階段状の図を思い出していただきたいのですが、営業利益はすなわちEBIT(Earnings Before Interest and Tax)に該当しますので、それにDAにあたる減価償却費を足し戻したものがEBITDAとなります。減価償却費は営業費用の中に含まれており、営業利益算出の過程で差し引いてしまっているので、それを足し戻せばEBITDAになるのです。

 なぜこのEBITDAが重要かということですが、上記で見たとおり、減価償却費は設備投資にかかったお金を便宜上利用期間で平均化して費用にしたものでした。

 お金は先に支払ってしまっていますので、毎年減価償却費として発生している費用は、費用ではあるものの、現金の流出を伴いません。現金の流出を伴わないのに、この減価償却費の分だけ利益は押し下げられています。そこで、事業からのキャッシュフローを把握するには営業利益よりも、それに減価償却費を足し戻したEBITDAの方が近い、ということになります。

 企業はいかに多くの富(現金)を創出することができるかが最終目的なので、EBITDAは企業の価値を判断する上で非常に重要となり、のちほど触れる企業価値の算出でもEBITDAを用いることになります。

 日本経済新聞で、このEBITDAという言葉が登場し出したのはここ数年のことです。それはまさに企業価値に対する注目度合いが上がったのと同じタイミングです。日本では長年損益計算書で計算される経常利益に重きが置かれてきましたが、このキャッシュベースの利益であるEBITDAの方が企業価値の判断には優れている、ということでこちらを利用する場面が日本でも増えてきました。

 本連載では、M&Aが起こる背景、そこから設備投資、減価償却、キャッシュフローについても学びました。ここまでわかってしまえば、コーポレート・ファイナンスに必要な知識はほぼ学んでしまったことになります。あとは、それを応用してM&Aを行っていくことになります。

※書籍を一部修正して掲載致しました。

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著者プロフィール:保田隆明

外資系投資銀行2社で企業のM&A、企業財務戦略アドバイザリーを経たのち、起業し日本で3番目のSNSサイト「トモモト」を運営(現在は閉鎖)。その後ベンチャーキャピタル業を経て、現在はワクワク経済研究所代表として、日本のビジネスパーソンのビジネスリテラシー向上を目指し、経済、金融について柔らかく解説している。公式サイト:http://wkwk.tv/ブログ:http://wkwk.tv/chou


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