いつでもどこかを工事している街、東京。都心部には次々と高層ビルが建ち、地下は絶えず掘り返され、鉄道の新線も開通していく。その中には「道路」の新規開通も多数含まれている。
ここ数年で開通した首都圏の道路を挙げてみよう。2007年3月に首都圏中央連絡自動車道の「つくば牛久IC−阿見東IC」(約12キロメートル)、「木更津東IC−木更津JCT」(約7.1キロメートル)が開通。6月には「八王子JCT−あきる野IC」(約9.6キロメートル)も開通している。
また、12月には首都高速道路中央環状線の「西新宿JCT−熊野町JCT」(約7キロメートル)が開通した。同区間は、地上の一般道「山手通り」の地下30メートルを走る「地下高速道路」ということもあって、開通時には大きく報道された。2008年に入ってからは、3月に首都圏中央連絡自動車道で「鶴ヶ島JCT〜川島IC」(約7.7キロメートル)が開通した。
ざっと挙げたこれらの新規開通道路を見ると、すべてが「環状線」であることに気付くだろう。首都圏の道路整備が環状線に集中しているのは偶然ではなく、理由がある。それは、40年前に立案された計画を見ることで分かるのだ。
1958年、高度経済成長期に突入していた日本は、国土開発の真っただ中。1964年の夏季オリンピック開催地に東京が立候補したこともあり、首都圏ではさまざまなインフラの整備が急ピッチで進められていた。その青写真として立案されたのが「首都圏基本計画」だ。そして、1950−1969年にかけて進められた自動車専用ネットワークを分析して誕生したのが1967年の「第5次道路整備五箇年計画」、その中で「3環状9放射」と書かれて明確化された。
サンカンジョウキュウホウシャ。聞き慣れない言葉だが、これは首都圏の道路行政を理解する上で重要なキーワードである。3環状9放射とは、3つの環状線で都心を囲み、9本の放射状の道路で東京と地方とを結ぶこと。クモの巣のような道路網で首都圏をカバーするという発想を表わしており、2015年の完成を目指している。
2008年現在、3環状は「首都圏中央連絡自動車道」「東京外かく環状道路」「首都高速道路中央環状線」。9放射は「湾岸道路」「第三京浜」「東名高速」「中央道」「関越道」「東北道」「常磐道」「東関道水戸線」「東関道館山道」という形で開通している。
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