著者プロフィール:森田徹
1987年生まれ、東京大学教養学部文科二類在学中(4月から経済学部経営学科に進学予定)、聖光学院中高卒。現在、東大投資クラブAgents、自民党学生部、東京大学裏千家茶道同好会のサークルに所属している。投資・金融・経営・政治・コンピュータ/プログラミングに興味を持つ。日興アセットマネジメント主催「投信王 夏の陣」総合個人優勝、リーマン・ブラザーズ寄付講座懸賞論文最優秀賞。
誰かに会うたびに「あけましておめでとう!」と言うのにも飽き飽きしてきたころ、「Royal Mail」のステッカーが貼られた薄汚い段ボールが我が家に届いた。クリスマス前にeBayのオークションで落札したデジカメが、ユーラシア大陸上空(多分)を超えて、やっと手元に着いたのである。送り主の住所は、UK……そう英国だ。
筆者がeBayでデジカメを落札し、PayPalで送金した当時は135円ほどだったポンド円レート。しかし1月22日には、119円台と史上最安値をつけ、執筆時現在(1月24日)はやや買い戻されて121円半ばで取引を終えている。
週刊こどもニュースあたりでも解説されていそうな話だが、当然、ポンドが下がれば対ポンドでは円高になり、英国からの輸入品は安くなる。
落札したデジカメは、生産が終了したKodak EasyShare V705というモデルなのだが、Yahoo! オークションで落札しようとすれば2万5000円から3万円ほどが相場だ。それが英国から輸入すれば送料・保険料込みで143ポンドである。
これを日本円換算すると、購入時のレートでも2万円弱、今のレートならなんと1万7000円ほどになる。半分とまではいかないが、ちょっと手間をかけるだけで3分の2程度の費用でデジカメが手に入ってしまったのだ。
本来ならここで、「ポンドも安い! ユーロもドルも安い! というか円が高い! だから海外旅行や個人輸入がお得なんだ!」という話で終わるのだろうが、ここで言いたいのは海外旅行はともかく、本当に個人輸入がお得なことである。AppleのMacBook Airなど、国内では21万4800円で販売されているが、米国では1799ドル(約16万円)、英国では1271ポンド(約15万4000円)と、個人輸入をすれば5万円ほど安く輸入できるのだ。これは5000円ほどの輸入代行手数料を考えても個人輸入が安い。
「円高になったんだから、個人輸入が得なのは当たり前」と安直に考えてはいけない。よくよく考えてみれば輸入品だろうと国内品だろうと、特に家電製品の場合は同じ製品ならば中国か台湾の同じ工場で作られている。購買力平価説(PPP)を持ち出すまでもなく、日本だけ2割も違う価格で同じ製品が売られているのは「何かがおかしい」。ここでグローバル企業の為替戦略というのを考えてみたい。
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