2008年の新規株式上場(IPO)社数は49社と、2007年の121社から大幅に減少した。50社を割り込んだのは、バブル崩壊後の市場の低迷でIPOが一時停止された1992年の(26社)以来、16年ぶりのこと。今、上場を予定・希望する企業はどのようなビジョンを持っているのだろうか。
帝国データバンクの調査によると、上場を予定・希望する企業に上場したい時期を尋ねたところ、最も多かったのは「3年後」で15.7%。以下、「2年後」(11.3%)、「4年後」(8.6%)、「5年後以降」(6.5%)、「1年後」(4.8%)が続いた。
しかし、「未定」と答えた企業が46.2%(前年比13.1ポイント増)を占めており、帝国データバンクでは「長引く景気の低迷と金融不安により、上場を予定・希望する企業の多くがその適切な時期を見極められずにいるとみられる」と分析している。
市場によって上場するための条件が異なっているが、どの市場に上場したいと希望する企業が多いのだろうか。上場予定・希望市場を聞くと、トップは「東証マザーズ」で36.3%。以下、「JASDAQ」(30.9%)、「大証ヘラクレス」(15.1%)、「東証2部」(7.1%)、「TOKYO AIM」(4.3%)、「JASDAQ NEO」(4.0%)が続いた。TOKYO AIMは東証とロンドン証券取引所が2009年春に共同で立ち上げる予定のプロ向け新市場。まだ開設されていないが、ある程度注目されているようだ。
企業は何をメリットと感じて、上場しようとしているのだろうか。上場を目指す理由を尋ねたところ、トップは「知名度や信用度の向上」で 75.5 %。以下、「資金調達力の向上」(59.9%)、「人材の確保」(42.6 %)、「社内管理体制の強化」(23.3 %)、「従業員のモラル向上」(22.1 %)、「売り上げの拡大」(19.9%)が続いた。資金調達よりは、知名度や信頼度を向上させる方が重要なようだ。
上場を予定・希望する企業のうち27.7%が「上場準備を中断もしくは上場時期を延期している」と回答、その理由を聞くと、最も多かったのは「株式市場の低迷」で87.6%。以下、「収益悪化による上場基準の未達」(48.7%)、「コストや手間の負担が経営を圧迫」(31.9%)、「内部体制の整備の困難」(17.2%)、「作業を手がける人材の確保の困難」(8.4%)が続いた。景気悪化や株式市場低迷が大きく影響しているようだ。
郵送による調査で、対象は上場を予定・希望する企業860社。調査期間は2月17日から3月3日。
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