ITmedia 一方、コンテンツやアプリ、サービスの利用率という観点では、UIの部分をどう進化させるかという課題もあります。特にauはKDDI独自サービスも多くあるため、EZweb関連のメニュー項目が多すぎて分かりにくい。
高橋氏 それは認識しています。ですから、社内にUIチームを作り、改善に向けて大きく取り組んでいますよ。
僕は、“公式ポータルの広告ビジネスで儲ける”という発想は、とうに捨てているんです。公式ポータルのトップページにユーザーを集めるなんて、もはや考えていない。
ITmedia 以前からおっしゃっていた「ユーザーから見たコンテンツへのウィンドウ(窓口)は、複数あっていい」という考えですね。
高橋氏 ええ、お客様にとって個別最適が行われているかが重要なんです。スポーツを重視する人なら(au Smart Sportsなど)スポーツ関連のコンテンツが使えればいいし、音楽が好きな人ならば(LISMOなど)音楽関連のコンテンツにきちんとアクセスできるようにすればいい。例えば、「Walkman Phone, Premier3」やSportioシリーズなんかは、UIが目的に沿っていて使いやすいですよ。
ITmedia それらの特徴は、端末からコンテンツ、サービスまで、特定のニーズにあわせてUIが作り込まれていることですね。
高橋氏 個別最適で(端末UIからコンテンツまで)作り込んでいるから使いやすい。重要なのはコンテンツの利用率なわけですから、こうした個別最適の方が効果があるのです。
また広告ビジネスという観点でも、公式ポータルのトップページにユーザーを誘導する時代は、携帯電話にGoogleが載った時点で状況が変わってしまった。実際、我々は他社に先駆けてGoogleとの連携を強化してきたわけですが、(Google検索の導入から)わずか1年で公式ポータルの広告収益をGoogle経由の収益が抜きました。
ITmedia ドコモもiコンシェルで“パーソナライズ”をキーワードにしていますが、ポータルやコンテンツ提供の仕組みが「個にあわせて」という形に変わってきています。
高橋氏 JALケータイなどを出した「フルチェン」などは特に顕著な例ですが、携帯コンテンツの世界全体が個別最適という形で進化していく。auはすでにその方向に進んでいます。
ITmedia 今回の夏商戦向けには、新たなコンテンツサービスである「EZニュースEX」も発表しましたね。技術的には、BCMCS(Broadcast/Multicast Services)やブロードキャストSMS(Broadcast SMS)を採用し、従来からあるEZニュースフラッシュの拡張版に見えます。このサービスの狙いはどのようなところにあるのでしょうか。
高橋氏 1つの狙いとして、「ローカルコンテンツの活用」があります。例えば、(今回提携した)朝日新聞では、各地域においてものすごい量のニュースを持たれている。しかも、その7割近くは全国版では掲載されずに終わっています。
ITmedia 確かに、新聞、テレビの地域支局が作るローカルニュースは、紙メディアや放送メディアでは需要や収益の課題から、実際には掲載されずに終わるものが少なくありません。
高橋氏 それらをEZニュースEXでは活用していきます。さらに一般的なニュース提供だけでなく、(ブロードキャストSMSによる)一斉同報機能を用いた“地域号外”のようなものも考えている。これは緊急地震速報用のシステムを用いて、該当するエリアに住まれているユーザーのみに、その地域の重要なニュースを号外でお届けするというものです。
ITmedia ローカルニュースやローカルコンテンツは、そこで生活するユーザーにとって関心度が高く、全国規模でのフリークエンシー(接触頻度)は低くても、地域内で見ればリーチ率が高い。これまでの課題は、それらを低コストで地域内ユーザーのみに的確に届ける仕組みがないことでした。EZニュースEXはここに着目しているわけですね。
高橋氏 むろん全国規模のニュースも扱いますが、より特長が出るのはローカルニュースも扱える部分だと考えています。僕は「超リアルコンテンツだ」と言っているのですけれどね(笑)
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