というわけで、「多数派の人、むやみに少数派の人に対して『なぜ?』って聞くのやめてよね」ってのが今日のメッセージ。世の中の人と同じことをやっている人が、そうしない人に「なぜ?」と聞くその言葉ほど、その無知をあらわにし、傲慢(ごうまん)なるものはない、と思うのです。
少数派の人というのは、「自分はこれしかない」という道を進んでいるのです。その人に対して、「俺は世の中と同じ事をしているのに、なぜ、お前は人と違うことをしているのか?」と聞く。こう考えるとちょっと恥ずかしくなったりしませんか。
結婚している方へ:世の中の大半が結婚しない社会でも、あなたは結婚していますか?
大学へ行っている方へ:世の中の大半が中学をでて働く社会でも、あなたは……
働いている人へ:世の中の大半が定職に就かない社会でも、あなたは……
谷崎が松子さんにプロポーズしたのは、避暑地の別荘か何かです。
古びた居間
昼間でも暗く涼しい別荘の居間
そこで、谷崎は静かに、たったひと言だけ言った。
「お慕い申し上げております。」
これって究極のプロポーズよね、って思います。なぜなら、彼はそう言わなければならなかった。相手は松子さんでなければならなかった。「何となく」とか、「成り行きで」とか、「そろそろそういう時期だから」とかではないのです。
気に入った芸者の妹をめとるとか、妻を友人に譲渡するとか……、「むちゃくちゃな」と思います。「みんながやるようなこと」ではないから、「むちゃくちゃな感じ」がするのです。
でも、谷崎から見れば、それは無茶でもなんでもない。必然です。彼はそうしたかったからそうしただけ。反対に彼は問いかけている。
「あなたがやっていることは、周りが今と違っていても、誰もそういうことをやっていなくても、それでもやっていることですか?」と。
しがらみの中に生き、世の中の多数派が提示する基準に基づいて評価されることを欲し、それを無意識なレベルで「自分の生き方」であると思いこむ。凡人ってのはそういうモンです。「皆が東に歩くなら、東に」「皆が西に歩くなら、西に」、もちろんちきりんもそういう人間です。
いいさ、凡人で。
そんじゃーね。
関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。
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