――『ATOM』の見どころは?
フランシス・カオ 昨今の米国のアニメ作品は、毛むくじゃらな動物たちが冗談を言い合ってケタケタ笑っているような純粋なエンターテインメント作品ばかりで、そこには感動や情緒というのはあまりありません。
一方、手塚さんの影響を受けたディズニーの『ライオンキング』という作品が昔ありましたが、これには心があり、見る者に何かを残す作品でした。「そろそろそういう感じの作品がカムバックしてもいいのではないか」と思っていて、それにはアトムがうってつけの素材だと感じています。
なぜなら、『鉄腕アトム』は悲劇を内包している、楽しいだけではないという作品、そして世の中の真実というものをあぶりだしている作品だからです。米国では同時多発テロがあったり、経済危機があったりと、人々はエンタメばかりでは満足がいかないような世の中になっているので、良いタイミングではないかと思います。
映像の面から言うと、『ATOM』では“リアル”よりも“スタイリッシュ”を目指しているので、ラインがシンプルだったり、形がすごくきれいだったりするので、大画面で見るとものすごくきれいに見えると思います。
特にアトムが初めて飛ぶことを覚えるシーンがあるのですが、そこは一人称的な撮り方をしていてとても迫力がある映像になっています。また、一棟のビルほどの高さがある巨大なロボットと戦うシーンも結構迫力があるのではないかと思います。
――『DRAGONBALL EVOLUTION(参照リンク)』のように日本原作の作品をハリウッドでリメイクすると、日本のファンから「雰囲気が違うんじゃないの?」と言われることもあると思うのですが、違う文化が原作の作品を作ろうとする時にどういうことが大切になりますか?
フランシス・カオ 一番気を付けないといけないことは、新しいものともともとあるものの間のバランスをとるというところだと思います。『ATOM』に関して言うと、決してアトムをアメリカナイズしようとかハリウッドものにしようということは考えていなくて、そこは『DRAGONBALL EVOLUTION』とは違うところです。また、イマージがある香港の文化は、西洋も東洋もうまく混ざっているので、香港人にはいいバランスが取れているものが作れると思うんですよね。
もう1つ言うと、アニメには独特のスタイルがあって、それを実写にするとどうしても変になってしまいます。今回はアトムを実写にするわけではなく、40年前にはなかった3DCG技術を使って同じアニメにするので、そこは『DRAGONBALL EVOLUTION』や『スピード・レーサー』(日本のテレビアニメ『マッハGoGoGo』が原作)とは違うところですね。
タイトル ATOM
メインコピー 手塚治虫生誕80周年 あの「鉄腕アトム」がとてつもないスケールで、ついに本格的映画化!!
公開 2009年10月10日
提供 角川エンタテインメント
公式サイトURL http://atom.kadokawa-ent.jp/
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