著者プロフィール:郷 好文
マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・実行、海外駐在を経て、1999年より2008年9月までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。 2008年10月1日より独立。コンサルタント、エッセイストの顔に加えて、クリエイター作品販売「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『ナレッジ・ダイナミクス』(工業調査会)、『21世紀の医療経営』(薬事日報社)、『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。2009年5月より印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」
夜、事務所に1人。コーヒー作りの“居残り残業”を自分に課した。三脚を立てて、カメラをセット。机の上には自宅から持ってきたサーバーとカリタのドリッパー、ペーパーフィルターを添えて、ひいたコーヒー豆を2杯入れる。
右手で湯を注ぎ、左手はリモートシャッター。ドリッパーが泡でいっぱいになり、“キノコ”のようになる姿が撮りたくて3度チャレンジした。しかしその結果、抽出したコーヒーは、酸味が強すぎる、香りがない、後味が苦い。まだまだバリスタ1年生だと痛感する。
相棒cherryさんはすでに帰宅。昼間、私の入れたハンドドリップコーヒーを飲んだcherryさん、眉間(みけん)にしわを寄せてこう言った。
「これはストレートでは飲めません」
そしてコーヒーの3倍くらいのミルクを注いでニッコリ。何という屈辱か。“エルサルバドルの屈辱”という文字を心に刻んで、密かな特訓を誓った。なぜエルサルバドルか? それはコーヒー豆がタリーズの「オーガニック・エルサルバドル」だったからだ。もちろん、cherryさんの不評を買ったのはタリーズのせいではなく、私の腕のせい。おかしい、タリーズのコーヒースクールを受講した時はそこそこうまく入れられたのに……。
「入れる人によってコーヒーは味が違うものです」とタリーズの副店長さん。ある日曜日の郊外店舗でのスクール、私を含む5人の生徒たちは「ふむふむ」と首を揺らした。「やっぱりせっかちではダメですか?」と私。
「そうですね。コーヒーに『おいしくなれよ』と語りかけるように入れてください」
「ハンドドリップがうまくなりたい!」という一心で申し込んだ「アイスコーヒーを家庭で美味しく作ろう!」スクール。講師の副店長はタリーズひと筋の好青年。優しい語り口で落ち着きがあり、好感度が高い。彼の人柄から生み出されるコーヒーは、きっと酸味が少ないさわやかフレーバー、でもコクがあるうまい一品になっていることだろう。
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