そして「先進性」の部分は、メーターパネルに凝縮されている。FCXクラリティのメーターは、上段奥にスピードメーター、下段にインフォメーションモニターという上下2段重ね。メインモニターは下段になっている。
インフォメーションモニター内には、エネルギーの出力とチャージをタコメーター(回転計)風にしたインジケーターと、電気と水素の残量を示すエネルギーモニター、そしてエネルギー使用状況を視覚的に表す「H2ボールメーター」が用意されている。走行中はこれらのインフォメーションが表示され、状態に応じてアニメーションするのだが、その様がとてもサイバーなのである。
インフォメーションモニター内の表示を見ながら、FCスタックやモーターの音を聞いていると、何だかガンダムのモビルスーツを操縦しているような気分になる。おそらくガンダムファンなら、FCXクラリティのコックピットデザインとドライビング感覚に「やられてしまう」ことは請け合いだ。そのくらいクールなのである。
ちなみに、これらFCXクラリティのコックピットデザインの一部は、現在のインサイトにも流用されている。例えば、上下二段重ねのメーター配置は「マルチプレックスメーター」になり、エコドライブの状況に応じて色が変化するH2ボールメーターは「アンビエントメーター」として実用化されている。 FCXクラリティに比べると少しチープになってしまったのは残念だが、そのデザインコンセプトさはインサイトに受け継がれているのである。
FCVは給油や充電をする代わりに、燃料電池のエネルギー源である水素を充填する。今回の試乗では、東京・お台場にある「有明水素ステーション」に訪問し、FCXクラリティの水素充填を体験してみた。
水素ステーションは都内にいくつかあり、有明水素ステーションはそのうちの1つ。お台場「水の科学館」の近くにあり、水素をエネルギー源とする燃料電池車や水素エンジン車向けに水素を供給している。事業運営は昭和シェル石油が行っており、設備の多くはカセットガスコンロでおなじみのイワタニが提供しているという。ちなみに水素充填に訪れるクルマは、1日平均2台程度とのこと。一見すると、かなりのんびりしたガス・ステーションである。
FCXクラリティの水素充填口は車両右後方。運転席内の「H2」のボタンを押すとフタが開き、充填用の注入口が顔を出す。ここまでの作業はガソリンの給油手順とほぼ同じだが、その先は一気に作業がものものしくなる。
まず、2人の作業スタッフがゴーグル着用で近づき、1人がアースを後席ドアに接続、もう1人が水素チェッカーでガス漏れがないか調べていく。ここで安全が確認されると充填用パイプが充填口に接続されて、水素ガス注入用のバルブが開かれる。なお、この時点で、作業員以外は指定された待避ゾーンから外に出なければならない。
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