翻って現在。
マスコミ各社の知り合いに尋ねると、昨今のHV・EV関連の記事について、筆者が投信ブーム時に感じたときと同様、「書かされている」と吐露する向きが多いのだ。記者が「書かされている」と感じるときは、大体のちのち読者や視聴者にとって良くないことが起こるものなのだ。
「HV・EV関連のネタなら、どんな小さな話題でも見出しは大きくなり、それ以外はボツになる公算が高い」――。過日、食事を共にした旧知のベテラン記者が溜息を漏らす一幕があった。この記者は、HVやEVが今後クルマ社会の主軸を担うことを確信していたが、最近の過熱気味の報道に一石を投じる意味も込め、全く別のトーンで原稿を出したのだ。
その中身とは、エンジンやトランスミッションなどの既存の動力装置を一層進化させ、燃費性能を向上させようと懸命に汗を流す自動車会社のエンジニアたちの話題だった。が、原稿は見事に行数を削られたという。詳細は聞いていないが、筆者はピンときた。過熱報道がなされる際は、デスクや編集の幹部は旬の話題ばかりに目が行きがちになる。加えて、大手マスコミの広告収入が激減、赤字を計上するマスコミ企業が続出する中で、「大事な広告主であるクルマ会社を刺激したくない」(大手紙編集幹部)という心理が働いたのだと確信している。
重ねて記すが、筆者は最新のクルマ技術をくさすつもりは毛頭ない。あくまでも、ひずんだ動機で最新技術を煽るマスコミ界の一端を紹介したまでだ。最新のクルマ技術の次にくる“過熱報道”はどんなテーマになるのだろうか。
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