中川 続いて、「世界コスプレサミット」です。ここまでいくと、「外務省はいったいどこまで本気でやっているのか?」「趣味だろ」と言われることもよくありますし、かなり境界線に近いのですが、私としては至って本気なんですね。異論はあるかもしれませんが、「コスプレぐらい日本と外国の受け止め方が違うものはないのではないか」という気がしています。外国ではコスプレそれ自体が1つの文化みたいな形になっていて、確固たる地位を築いているように思うのです。
世界コスプレサミットは2009年で7回目なのですが、世界15カ国で予選をやっています。なぜ15カ国かというと、(それ以上の国が出場するための)本選のキャパがないんですね。いろんな国から「出たい」という応募がたくさんあるのですが、「申し訳ありません。本選のキャパがないので、15カ国に絞らせてもらっています」というのが現状です。各国で予選をやって、各国チャンピオンが8月に名古屋に集まって、世界大会をやっています。
何がすごいかというと、各国の予選会に集まってくる人たちの数を足し合わせると40万人と「ホントかよ」という数字になるんですね。Japan ExpoでもSalon del MANGAでも、そういった大型イベントで一番観客が集まるのはコスプレショーなんですね。世界中のコスプレショーに出ているコスプレイヤーたちが、すごく憧れて目指しているのは実は日本の名古屋なんです(笑)。サッカーのワールドカップやテニスのウィンブルドンぐらいの価値があるのではないかなと思っているのですが、日本国内でもそのくらいの評価をしていただけたらなと思っています。
中川 最後に「カワイイ大使」という試みがあります。最初に話しましたように、今、日本のポップカルチャーに対する関心というのが漫画やアニメから、J-POPやJ-FASHIONへとどんどん広がっている現状があるので、「それを積極的に後押しできないか」という狙いがあります。
Japan Expoなんかに行くと、もちろん一番多いのはコスプレイヤーなのですが、そのコスプレイヤーに混じって、「ここは渋谷か原宿か」と思うような、ストリート系やガールズ系のファッションをしている人たちであふれているんです。
しかし、そんなに日本のファッションに対する関心が高いにもかかわらず、日本のファッション業界は海外に目を向けていないんです。「日本のアパレルを欲しい、着たい」という人はたくさんいるのに、ものが出てこないというのが現状です。
「これは何だか20年くらい前の日本の漫画やアニメを取り巻く状況に似ているかな」という気がします。その時に漫画やアニメで何が起こったかというと、海賊版や違法コピーの氾濫だったと思います。このままだと日本のファッションに対する今の関心というのは、一時的なもので終わってしまうのではないか、これ以上広がらないのではないか。そこで、カワイイ大使を登場させて、事態を打開しようということなのです。
カワイイ大使を選ぶ時に「何が一番大事か」と思ったかというと、ドラえもんと同じで「説明がいらない」ということです。それを見たら誰しもが日本だと分かる、そういうファッションのジャンルを選びました。キワモノ系のファッションだと批判されることもあるのですが、カワイイ大使として任命した制服ファッション、ロリータ、原宿系というのは、実は外国の人たちからすると、説明を要することなく、「あっ、カワイイ」という言葉を通じて日本と直接結びつくイメージがあるのです。
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