ユーロファミリーに“嘘つき”が出てきた……ユーロ8年目の危機松田雅央の時事日想(2/3 ページ)

» 2010年03月10日 08時00分 公開
[松田雅央Business Media 誠]

 500ユーロといえば約6万1500円に相当し、最高紙幣が1万円札の日本人にはちょっと実感の湧きにくい高額紙幣だ。ただし500ユーロ札は一般には流通しておらず、筆者もこれまで2〜3回しか実物を見たことがない。高額の買い物や現金受け渡しには使えても、高額商品を扱わない小売店では使用を断られることが多い。程度は違うが200ユーロ札も同じような制限があり、例えば小さなスーパーで使おうと思ったら断られるかもしれない。

 硬貨は0.01(1セント)、0.02、0.05、0.10、0.20、0.50、1、2ユーロの8種類。表面はユーロ圏共通だが裏面は各国が独自の絵柄を採用できるので、発行国の数だけ絵柄が存在する。発行枚数の少ない国の硬貨には希少価値も生まれコレクションの対象になっているようだ。

ユーロ札
欧州中央銀行の「ユーロショップ」にて

ユーロファミリーの嘘つき?

 さて、ギリシャは慢性的な財政赤字を抱え、欧州委員会の発表によればその額は2710億ユーロ、国内総生産(GDP)比で12%を超えている。パパンドレウ首相は昨年暮れ、社会保障費の削減や公共事業の見直しによって財政赤字を13年までに欧州連合の基準3%以内に圧縮する財政再建策を発表している。

 財政赤字の規模もさることながら、とりわけ問題となっているのはギリシャが財政赤字を小さく見積もり欧州連合に報告していたという事実だ。10月の政権交代に伴いこのことが明るみにでてしまった。一国の問題がユーロ全体に波及するのが単一通貨の宿命であり、ギリシャ問題はユーロの根幹を揺るがすスキャンダルに発展している。ドイツの週刊誌『フォーカス』(2月22日号)はギリシャを「ユーロファミリーの嘘つき」と評し、これがギリシャ市民の怒りを呼び、ドイツ製品の不買運動やドイツ系金融機関のボイコット運動も起きている。

 3月に入りギリシャ政府は追加的な財政再建措置の導入を発表した。これに対し、欧州委員会が公式発表した。

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