富士重工業(スバル)は4月22日、ステレオカメラを用いて衝突回避や自動走行を行う運転支援システム「新型EyeSight(アイサイト)」を発表した。5月中旬に発売予定のスバル レガシィに搭載する(非搭載車両との価格差は10万円程度)。
新型EyeSightで追加された機能は、「プリクラッシュブレーキ」「プリクラッシュブレーキアシスト」「全車速追従機能付きクルーズコントロール」の3つ。既存の機能と合わせて8つとなる。
| 機能 | 制御名 |
|---|---|
| 衝突回避・衝突被害軽減機能 | AT誤発進抑制制御 |
| プリクラッシュブレーキ | |
| プリクラッシュブレーキアシスト | |
| 運転負荷軽減機能 | 全車速追従機能付きクルーズコントロール |
| 先行車発進のお知らせ | |
| 予防安全機能 | 車間距離警報 |
| 車線逸脱警報 | |
| ふらつき警報 | |
プリクラッシュブレーキ機能は、先行車や前方障害物との距離が一定の車間距離より短くなると警告を発し、ドライバーの回避操作がない場合には自動的に減速して衝突の回避、被害を軽減を図る。自車と対象物の速度差が時速30キロ以下の場合、自動ブレーキによって制動がかかる。
一方、プリクラッシュブレーキアシスト機能は、先行車や前方障害物に衝突する危険性や、ドライバーの急ブレーキ操作を感知した場合に、自動的にブレーキアシスト機能が働くものだ。
新型EyeSightでは、渋滞状況では難しかった低速度域の追従走行(全車速追従機能付きクルーズコントロール)が可能になった。これは、従来0.25G(重力加速度)だった自動ブレーキの最大減速度を0.4Gに強化した結果で、先行車が大きく減速することがある都心部の自動車専用道路でも対応できるという。例えば、先行車が止まりかけた場合は、それに応じて減速し、先行車が止まらず再加速した場合は追従、止まった場合は自動的に停止する。
EyeSightは、2008年にレガシィ(3代目)に搭載したプリクラッシュセーフティ(衝突被害軽減)システム。他社がミリ波レーダーを使うのに対して、スバルは2つのカメラ(ステレオカメラユニット)を用いる。スバルでは、1999年にEyeSightの前身となるステレオ画像センサーを用いた運転支援システムを商品化。新型EyeSightは数えて5世代目となる。
ステレオカメラの画角は前方25度、1秒間に30枚の画像を処理する。35センチ間隔の左右のカメラの視差により、近いものほどズレが大きく、遠いものほど小さくなる特性を利用している。
映像を利用するため、画角外からの飛び出しや悪天候など、カメラ撮影できない状況では性能が発揮できないこともある。スバルの担当者によると、「夜間の場合、前走車のテールライトや、ヘッドライト、街灯などで浮かび上がったシルエットなどは認識可能。ナイトビジョン化はコストとの兼ね合いで検討したい」とのこと。
ステレオカメラ映像を利用する理由について、常務執行役員でスバル技術本部長の宮脇基寿氏は、「人間をサポートできるのは、人間の目と同様の仕組みのステレオカメラではないかというところから開発が始まった。新型EyeSightでは、レーダーセンサーでは認識できない歩行者や自転車の動きも感知できる」という。
スバルの安全性能の追求は「視界が安全の基本としてスタートし、走りを極めれば安全になるとしてABS(アンチロックブレーキシステム)を国産AWD車で初めて導入するなど、先進的な取り組みを行ってきた」(同氏)。今後は、周囲の状況だけでなくドライバーの状況も適切に把握し、安全な走行を支援する知能化技術の研究を進める方針だ。
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高齢者ドライバー問題は「今、そこにある危機」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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