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» 2010年05月13日 01時30分 公開

富士通のコーポレートガバナンスを正したい――野副州旦元社長が語る、社長辞任騒動(2/5 ページ)

[堀内彰宏,Business Media 誠]

野副 しかし、その後、私自身が調査した結果、「当該ファンドがそもそも反社会的勢力と関係がない」ということが分かって、「これは仕組まれた辞任だ」ということが理解できました。そこで2010年2月下旬に、詐欺または錯誤があったということで辞任の意思表示を取り消して、真相究明を会社に要求することを決意しました。

 3月5日に日本の新聞などにこの内容が報道されると、翌3月6日、富士通は9月25日の私の社長交代を「病気による辞任」と発表していたのですが、これを「社長としては適格性を欠いた行為があったため」という辞任に訂正すると同時に、当時、私は相談役という立場だったのですが、相談役を解任するということを行いました。

 会見を開いたわけではなく、「一部報道について」という形でニュースリリースを流し、その後4月14日になってようやく会見を開きましたが、参加した記者の方々によると、4月14日の会見は「まったくちぐはぐで不十分だった」と聞いています。その後も公開質問状を出したのですが、これに対しても答えがないということで、内部からの自浄作用を期待したのですが、まったく何の動きもないというのが現状です。

 一連の出来事の中で私が訴えたいのは、「富士通のコーポレートガバナンスは、9月25日においても現在においてもまったく機能していない」ということで、18万人の社員、そして株主を始めとした多くのステークホルダーのためにも、上場企業として早急に会社としてのガバナンスを回復させなければいけないと感じています。

 私は当初は取締役としての地位保全の仮処分を申し立てましたが、当時は「まだ十分な準備ができていない」ということでいったん取り下げました。その代わりに、公開質問状による外部調査委員会の設立の要求と、東証の処分の発動要求を行いました。しかし先ほど申し上げたように、これらの要求については、富士通からも東証からも誠実な対応が行われていない状況です。

 いずれにしても、このままでは富士通のガバナンスの確立は期待できないので、今は自らの地位の保全をもう一度申し立て、自らが代表取締役として総会前に何とか復帰して、その責務と任を果たすことが第一義だと考えるに至っています。

 私としては引き続き富士通の自発的な行動を期待しています。しかし、富士通側は「司法の場での決着を望む」とコメントしており、今回の事件の首謀者を含む取締役の重任議案が株主総会に提出される日も近づいてきたことから、本日この後、代表取締役の仮処分を申し立てる計画です。

 これが裁判所で認められた場合には、私は代表取締役として株主総会までに復帰して、富士通の取締役会できちんと事情を説明し、今回の事件の首謀者である人たち、具体的には秋草氏と間塚氏の責任を追及するとともに、外部調査委員会を設立して事件の全容を究明し、社会に対しても説明責任を果たしていきたいと思っています。そして、富士通に二度とこういったことが起きないよう、早急にあるべき健全な企業統治、コーポレートガバナンスのあり方(を定め)、コンプライアンスを遵守する組織を建て直したいと考えています。

内部告発のレターも受け取っている

 野副氏の代理人の玄です。私が申し上げようとしたコーポレートガバナンスについては、もうほとんど野副さんが触れてしまったので、若干だけ補足します。

 野副さんは数多くの外国人株主を含む日本の大企業のトップで、株主の委託を受けた取締役から選ばれた代表取締役でした。日本企業の中では珍しい経営者としてリストラを果敢に行い、投資家やアナリストの評判は高かったと聞いています。

 ただ今回、根拠がよく分からない、会社自身も根拠を明確にしない理由によって解任され、職を失いました。また、取締役会の中では、その議論が十分に行われたとは聞いていません。会社から提出されたテープ(東洋経済オンライン)には、「辞任を受け入れれば病気ということにして発表すればいい。そうすれば、富士通に被害は及ばない」という明確な証拠が残っています。おそらく、野副さんが勇気を出して、このように争うことがなければ、投資家にとって実際起こったことは何も分からなかったと思います。その後も会社は嘘のプレスリリースを繰り返し出しており、その上、最近は私たちからの公開質問状に一切答えず、沈黙を保っています。

 私たちは、従業員からも内部告発のレターを受け取っています。しかし、東証は私たちが上申書という形でテープという動かぬ証拠を送ったにもかかわらず、一切行動を起こしません。著名とされる社外取締役や社外監査役も何も声を上げません。問題となった取締役は、今度の株主総会で重任されると発表されています。私たちは海外メディアのみなさまに富士通の投資家や株主、東証に働きかけていただき、富士通のコーポレートガバナンスを矯正するお手伝いをしていただきたいと思っています。

弁護士の玄君先氏

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