湯浅誠が語る、広がる貧困と結婚できない人の関係(1/4 ページ)

» 2010年12月22日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 結婚しない若者が増えている――。国勢調査の結果を見ると、未婚率は右肩上がりで伸びている。結婚しない理由として「いい人に出会えないから」「忙しいから」などを挙げる人も多いだろうが、貧困問題に取り組む湯浅誠氏は別の見方をしている。結婚しないのではなくて、“結婚できない”。その背景には貧困問題がからんでいる、と分析する。

※本記事は上智大学で行われたシンポジウム(12月14日)で、湯浅氏が語ったことをまとめたものです。

男性・30代前半の未婚率は47.7%

NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長の湯浅誠氏

湯浅:今の日本……家族のカタチはどうなっているのだろうか。ある調査によると、家族のカタチは過去に比べ「あまり変化していない」という結果が出ていた。例えば、家族で食卓を囲む回数や家族の会話の量などは、大きく変わっていない。むしろ変わってきているのは家族形成ができていない人が増えていること。結婚して子どもを持つ人と結婚できない人が、二極化していることだ。

 「結婚していない人は、ぜひ結婚した方がいいですよ」という人がいる。しかし「結婚できる人」がどんどん減っているのが現実なのだ。国勢調査によると、男性・30代前半の未婚率は47.7%。つまりほぼ半数が結婚していないということになる。これは2005年に行われた調査結果だが、国勢調査は5年ごとに行われる。過去にさかのぼって未婚率を見てみると、5年ごとに5ポイントほど増えていっている。

 5年前の未婚率が47.7%だったということは、2010年に行われた国勢調査では50%を超えている可能性が高いことになる。そうなると30代前半の男性では、結婚している人の方が少数派になってしまう。厚生労働省が「標準モデル世帯」を発表しているが、それによると日本の標準的な家族構成は33歳夫、29歳妻、4歳子ども――。しかしこの標準モデル世帯というのが、かなりの少数派になってくる。

 33歳で4歳の子どもがいるということは、男性は20代後半で結婚していないといけない。しかし国勢調査によると、男性・20代後半の未婚率は72.6%。結婚している人は3割にも達していないのだ。

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