天下のウォルマートも苦戦するアマゾンの脅威(2/2 ページ)

» 2011年02月25日 08時00分 公開
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ウォルマートも無傷ではない

 そして、先日の報道によると、何と天下のウォルマートも無傷ではないというのです。

 ウォルマートの業績発表を見てみると、米国内の既存店舗売上は2年連続で減少傾向にあります。そして、その要因の1つは「価格リーダーシップの揺らぎ」であるというのです。

 「エブリデイ・ロウ・プライス(EDLP)」という革新的な戦略で、同社を小売業の王者として育て上げたサム・ウォルトンが聞いたら、さぞかし嘆くことでしょう。

 米国の大手金融会社ウェルス・ファーゴが行ったアマゾンとウォルマートの価格比較スタディによると、「複数商品カテゴリーを横断したウォルマートの平均価格はアマゾンに比べて19%ほど高い」という結果が出たということです。

 もちろん、この数値は「アマゾンの顧客はセールス・タックスと送料を払わないものとして計算する」ということが前提となっているようです。しかし、送料を考慮に入れて計算しても、両社の間には依然として9〜10%程度の価格格差が存在するということで、これが「ウォルマート=価格リーダー」という神話をもろくも打ち砕くものであることは明らかです。

 先ほどカテゴリー・キラー・キラーという言葉を出しましたが、米国の1980年代はカテゴリー・キラーという新業態や、ウォルマートなどのマス・ディスカウント・ストアが開花した時代。豊富な品揃えと低価格を武器に、多くのパパ・ママ・ストア(個人店舗)を倒産に追い込みました。

 天下無敵と思われたカテゴリー・キラーも時代の流れには勝てず、アマゾンのようなまさに「ミュータント的プレイヤー」を前にビジネス・モデルの見直しと自らのパラダイム・シフトを余儀なくされている……。「世界最大の小売業者もあぐらをかいてはいられないのだ……」ということを改めて認識させられたニュースでした。(石塚しのぶ)

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