「3年でシェア30%に」――ネット証券大手4社が投信販売でタッグ

» 2011年03月02日 13時49分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 大手ネット証券4社(SBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券)は3月2日、投資信託の販売面で協力する「資産倍増プロジェクト」を立ち上げた。共同でイベントや広告展開、Webサイトの立ち上げなどを行うほか、4社専用の投資信託の組成・販売にも踏み込んでいく。

 具体的には7月2日に両国国技館で入場無料の共同イベントを開催、4社社長によるパネルディスカッションなどを通じて、ネットでの投信販売の促進を目指す。

 4社専用の投資信託についても、いくつかの投信会社から提案が来ているということで、「パフォーマンスや旬のもの(毎月分配型など)であるということも重要だが、コストが安かったり、名前から投資先をイメージできたりするような商品を目指している」(齋藤正勝・カブドットコム証券社長)。

左から井土太良社長・SBI証券、齋藤正勝・カブドットコム証券社長、松本大CEO・マネックス証券、楠雄治・楽天証券社長

目標は3年で4社合わせてシェア30%

 個人投資家の株式取引は、1999年の株式売買委託手数料の完全自由化を契機に、ネット経由に大きくシフト。2010年の個人の株式売買代金121兆8588億円のうち、ネット証券大手5社(前述の4社+松井証券)の占める割合は71.4%(86兆9566億円)に達している。

 しかし、投資信託(株式)に関しては、1998年の銀行窓販開始以来13年連続で資金流入が続いているものの(参照リンク)、2010年の株式投資信託設定額23兆9192億円のうち、ネット証券大手4社※の占める割合は1.6%(3713億円)にとどまっている。

※松井証券は投資信託を販売していない。

 「投資信託の残高を見ると、日本の60兆円に対して、米国は1000兆円超。米国はそのうち60兆円ほどをネット証券などが占めているが、日本ではネット証券4社を合わせて9000億円ほどしかない。しかし、2010年の残高の伸びを見ると、投信残高全体の伸びは4.4%程度だが、ネット証券4社は25%伸びている。そのため、まだ潜在的な販売余地はあると考えている」(楠雄治・楽天証券社長)。

投信販売におけるネット証券4社のシェアはわずか1.6%

 インフラ面でも、スマートフォンが普及期に入るなど、ネット証券にとっては追い風が吹いている。また、世界的な株価上昇を受けて、日本の株式市場もここ数カ月は上昇基調にあるが、2010年の東証1部の株式売買代金は354兆円と、2007年の734兆円から半減。そうしたこともネット証券各社の投信販売注力に影響を与えているようだ。

 SBI証券の井土太良社長は、「FXはリスクがあって、商品性も分かりにくいが、ブームになると大きく伸びた。4社が販売面で協力することで、同じようにネットで投資信託を売買するというブームを作りたい」とコメント。

 マネックス証券の松本大CEOは「マーケットは作るものだと思っている。ネット証券ができた時も、株式売買代金で今ほどのシェアを持つと考えられてはいなかった。新しいネット投信のマーケットを作り、3年で4社合わせて(設定額で)30%のシェアをとることを目指したい」と語った。

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