反原発政党が大躍進――フクシマがドイツに与えた影響松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年03月29日 11時46分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 原発事故発生から早くも2週間が経過した。放射能汚染が日に日に深刻さを増していることや、いっこうに収拾のめどがたたない原発の状況は海外でも詳しく報道されている。近隣諸国の不安が高いのは当然として、それ以外の国で特に大きな影響を受けているのがドイツである。

 日本食ブームを反映して「回転寿司は安全か?」といった身近な不安から、反原発を訴える緑の党がバーデン・ビュルテンベルク州議会選挙で大躍進し、ドイツ初となる「緑の党の州知事誕生が確実」といった政治の地殻変動まで引き起こしている。

日本食材が消える日

 筆者がよく行く近所のアジア食品店には幅2メートルほどの日本食材コーナーがあり、みそ、しょうゆ、のり、みりん、ふりかけなど、基本調味料や保存の利く食品が並んでいる。ここ1週間、品薄や品切れの商品が、徐々にではあるが確実に増えてきた。(写真)

 新しいしょうゆのペットボトルを棚に並べる店員の姿も見られるので、あと数日ですべての品が姿を消すという極端な状況にはない。震災前に船積みされ放射能汚染とは無関係の商品が小売店に並ぶのはもう少し先の話だし、欧州内の倉庫にも在庫があるはずなので、現在みられる品薄の主な原因は消費者の買い急ぎにあると思われる。

 原発事故発生以来、日本からの輸入品の放射線チェックは強化されているが、「全面輸入禁止」のような措置はとられていない。ただし今後については不透明で、輸入食品から多量の放射線が検出される事態になれば全面禁輸も十分考えられる。

 すでに、スイスの小売大手チェーンCOOPは日本からの輸入食材を取り扱わないと発表し、同じく小売大手チェーンMIGROSは太平洋産水産物について今後は放射能検査を行うとしている(参照リンク)

品切れの目立つアジア食品店の日本食材コーナー。品薄・品切れの日本食材が目立ってきた。まだ入荷の続いている商品もあるが、1〜2カ月後には全面ストップする可能性もある
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