必ずやって来る“国債大津波”を、政府は想定しているのか藤田正美の時事日想(3/3 ページ)

» 2011年07月04日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]
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 その難しい状況(それこそ日本が直面したことのない危機、じわじわとくる「国難」だ)の中で、財政を再建し、何とか社会保障を持続可能なものにしなければならないのである。政府与党が決定した社会保障の見通しの中でも、いわゆる給付水準の引き下げにはまったく触れられていない(そんなことをすれば次期国政選挙で不利になるからだ)。税と社会保障の一体改革という日本経済の根幹に関わる問題を、消費税と社会保障を結びつけるという問題に矮小化(わいしょうか)してしまった。その意味では将来へのビジョンを欠いた改革案であり、それを具体化していく段階で、早晩つじつまが合わなくなってくるはずだ。

 そしてつじつまが合わなくなったときには、大きな社会的混乱が起きる可能性もある。その時に慌てても、地震対策や津波対策と同様、間に合わないのである。原発のような分かりやすい話ではハッスルする首相だが、いつか来る“国債大津波”にはまったく無頓着に見える。日本から脱出できる富裕層はいいが、大多数の国民は日本にとどまらざるをえない。自分の延命ではなく、そうしたことに心を砕いてこそ政治家である。

原発事故には力を入れる菅首相。しかし国債の問題には無頓着!? (写真と本文は関係ありません)
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