そのような事実だけを聞くと、「ああ、かわいそうに。反日感情が強いから」なんてAさんに同情するかもしれませんが、実は彼女が中国人から避けられたのは「日本人」だからではなく、「中国人に日本流ビジネス」を押しつけてきたからなのです。
私と初めて会った際、Aさんは我々にこんなことを言ってきました。
「これからはみなさんの個人の携帯で24時間対応していただければ、大変助かります」
“お客様は神様”という考え方をもつ、日本のビジネスパーソンからすれば「そんなのはジョーシキだろ」と思われるかもしれませんが、私たち中国人にはかなり“KY”なもの言いです。前回もお話をしましたが、中国人は仕事とプライベートはきっちり分ける、しかもどちらかといえばプライベートの方を優先するということこそ「常識」だからです。
まあ、日本からやってきて彼女もがんばらなくてはいけないのだから、それぐらい一生懸命仕事をやれということなのだろう、と軽く考えていた私たちはびっくりしました。
本当に連日のように24時間対応を求めてきたのです。夜中に携帯で叩き起こされ、「明日の朝8時までにやっておいてください」などと指示されることもしばしば。ビジネスなのだから当然でしょう、と有無を言わせないAさんの態度も、中国人従業員にとってはカチンとくる要因で、気がつくとAさんは中国従業員から「仕事のロボット」と陰口を叩かれるようになってしまいました。
結局、誰もAさんの仕事をやりたくなり、時間外労働と報酬が見合わないという声がいたるところで噴出。会社としても「Aさんの仕事は受けなくていい」という判断をするまでにいたってしまいました。
あらためて言うまでもありませんが、このバッシングには「日本人」も「日本企業」も関係ありません。前に述べた日系ラーメンチェーン店同様、単にAさんと中国人の「労働文化」が噛み合なかったことによって引き起こされた誤解なのです。
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