早稲田大学卒業後、インタープライズ・コンサルティング(旧・日本エル・シー・エー〈2011年8月に社名変更〉)に入社。現在は同社で執行役員。住宅業界向けコンサルティングで、日本最大規模の実績を誇る住宅不動産事業部の事業部長を務め、これまで50社以上の支援を行う。1年間のうち、300日以上講演や研修を行い、その研修生は年間でのべ4000人以上に及ぶ。住宅・不動産業界の未来を見据えた業界動向のほか、全国各地の工務店やデベロッパー、ハウスメーカーの個別事情に精通している。
また住宅業界の専門誌などで、数多くのコラム連載を行っている。経営コラム「住宅業界を斬る!」を連載中。
ここ数年、中古住宅の注目度が高まってきている。
雑誌やフリーペーパーの特集で中古住宅やリノベーション(大型リフォーム、全面改装など)について目にした読者も多いだろう。また、住宅購入の検討者1500人に調査を行ったところ「中古住宅をリノベーションした住宅に魅力を感じるか?」という問いに対し、70%以上が「魅力を感じる」と答えている(リクルート住宅総研調べ)。
特に若年層は、中古住宅+リノベーションを「オシャレ」、「自分好みにカスタマイズできる」と前向きに評価している。
今後も中古住宅の市場が広まっていく中、どのような基準で家選びをすべきなのか。それを本コラムでお伝えしていきたい。
中古住宅の流通はここ数年でようやく進んできたが、まだまだ未成熟な市場である。その理由を中古車との比較でご説明する。結論から言うと、中古車の流通は中古住宅に比べて圧倒的に進んでいる。
上記のグラフから分かる通り、中古車の登録台数は新車の台数を超えている。中古車の登録台数は業者間取引の割合が新車よりも多いこともあり、実際の消費者への普及率とは異なる。普及率は3:2(新車:中古車)程度になるが、それでも中古車の取引は活発に行われていることが分かるだろう(ちなみに2010年はエコカー補助制度終了の影響で新車の比率が高まっている)。
自動車は「完成品」であり、結果として「商品ブランド」の認知が進みやすい。そのため、「ゴルフ」「プリウス」「フィット」といったブランドという「一般価値」で消費者が判断でき、結果的に流通価格が明確になる。
それに比べて、住宅は半完成品(オーダーメイド)も多く、購入者の「個別価値」によって価格が決まることが多い。その結果、商品ブランドによる「一般価値」が普及しにくく、流通価格も決まりづらかった。
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