最後に“異色”とも言える人工衛星を紹介しよう。古川さんが滞在するISSに、物資補給を行う宇宙ステーション補給機「こうのとり」だ。
「『こうのとり』は無人機。ISSが住宅だとすれば、『こうのとり』は無人のダンプカーのようなもの。家に無人のダンプカーが衝突しないように、安全に設計されています。例えば『こうのとり』を誘導制御するために3台のコンピュータが計算していますが、もし結果が違う場合には“多数決”で決めます。さらに別のコンピュータがきちんと議論しているのかどうかを、監視しているんですよ」
議論が煮詰まれば多数決で決めたり、その場に第三者が監視していたり。まるで会社の会議に近いものが人工衛星の中で繰り広げられているのだ。そうした“人間臭さ”が、人々の心を引きつけているのだろう。
ロケットが打ち上げられた際、ニュースではよくこんな見出しが躍る。「打ち上げ、成功!」と――。しかしロケットに何が積まれているのか。それが人々の生活にどのように役立っているのか。このことを知っている人は少ないかもしれない。人工衛星が私たちの生活にどのように役立っているのか。将来、どのようなことが期待されているのか。こうしたことを考えながら、ロケットの打ち上げシーンを眺めると、また違った思いになるだろう。
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