コラム
» 2011年10月04日 08時00分 公開

事故から25年、チェルノブイリ原発ツアーに参加してきた世界一周サムライバックパッカープロジェクト(2/5 ページ)

[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

“ゾーン”に入るのは自己責任で

 ツアー前日の土曜日に、ウクライナ人たちとのフットサルに参加したため、僕の両足は筋肉痛マックス。当日は8時45分に独立記念広場の前に集合なので、朝起きてから筋肉痛の足をひきずるようにしてたどり着きました。服装は長袖長ズボンで、放射線の影響を受けないように心がけました。

 集合場所で周りを見渡すと参加者が18人くらいいる。あれ、最大15人じゃなかったっけ?

 すると、18人のうちドイツ人の3人は、前金を払ってオンラインで申し込んだものの、ツアーガイドが把握していなかったようで、「聞いてないぞ」ということに。結局、彼らは定員オーバーのために参加できませんでした。不運過ぎる……(今後ツアー参加される方で、オンライン申し込みする方は注意してください)。

 15人の参加者のうち、偶然にも僕のほかにもう1人、日本人がいました。1週間の休暇でロシアとウクライナに旅行に来ているということで、僕より結構年上の方。滅多に会わない日本人旅行者との遭遇に驚きつつ、行動をともにさせていただくことにしました。

 ほかの参加者はフランス人、ドイツ人、米国人、英国人など先進国出身者ばかり。それも当然で、160ドルは先進国以外の人が気軽に払える金額ではありません。ウクライナ政府は、それでいいと思っているのでしょうか?

 ウクライナ人の女性が1人参加していましたが、ドイツ人の付き添いのようだったので、お金はドイツ人が出していたのでしょう。ウクライナ人の平均給与から考えると、160ドルは日本人の5万円くらい、いやそれ以上の感覚のはずです(高学歴のウクライナ人の若者が国家公務員的な仕事をしていて月給7万円くらいと言っていました)。

 時間が来たので、マイクロバスに乗り込む。首都キエフからチェルノブイリ区域までは片道2時間ちょっと。その途中、バス内で『THE BATTLE OF CHERNOBYL』というドキュメンタリーを見せられました。内容はチェルノブイリ事故発生から何が起こって、どう時が進んでいったのかを細かに追ったもの。1時間強の放映時間でした。チェルノブイリ原発事故について「実はよく知らない」という人はぜひ、この先に進む前にWikipediaの解説(外部リンク)をチェックしてほしいです。

 チェルノブイリ事故後、今でも原発を中心として半径30キロ圏内は居住立入禁止区域となっていて、それを通称“ゾーン”と呼んでいるそうです。

 そのゾーンに入る時に検問があり、兵隊のチェックを受けます。パスポートを見せて通り抜けたのですが、驚くべきことに荷物検査がありませんでした。

 「テロリストが来ても大丈夫なのか?」とガイドに尋ねると、「ウクライナをテロリストが襲うメリットがないから大丈夫だ」と即答。……ともあれ、こうしてゾーンの中に入り込むことができました。

 バスに乗りながらいくつかのモニュメントを回っていくのですが、その中に消防士のモニュメントがありました。彼らは事故発生直後、炎上した現場を鎮火するため、何が起こっているのかも知らないまま突撃し、闘った消防士ということでした。恐らく、彼らは相当量の被曝をしたのではないかと思います。

 今の放射線量はどうなのか。参加者の何人かが放射線量をチェックできるガイガーカウンターを手に持っていたので、時折、僕もその数値を見せてもらったところ、毎時0.1〜0.2マイクロシーベルトと、ゾーン内とはいえそれほど高くない数値。

 しかし、ガイドがバス運転手に指示して、ある場所で止まると、ガイガーカウンターが異常な反応を示しました。クルマの中にいるのに、ガイガーカウンターは毎時30マイクロシーベルトを超えていたのです。

 そこは、大量の放射線を浴びたことで森の色が赤く変わったと言われている、通称“レッドフォレスト”。今は見た目は普通の森になっていますが、放射線量はまだ高いようで、「あそこには人は住めないな」と思いました。もちろん僕らは30秒ほどでその場を立ち去ったので、人体には影響がないはずですが。

 通常、ガイドが指示した道や場所を行くのですが、当然ながらそれらは安全がある程度保証されている場所。ゾーンの中ですでに放射線量が低いところのみ入れるというわけです。レッドフォレストのように放射線量が高いところに僕らは行けません。

 僕が一度、道の横の林に少しだけ立ち入ろうとしたら、ガイドから「そっちは危ないからダメだ」と指示が。「見た目では何も分からない。ガイガーカウンターが常時必要だ」と思いました。

 僕らは「万が一身体や持ち物に何かあっても、自己責任である」という旨の書類にサインをしてから参加しています。自分の身は自分で守らなくてはなりません。

ゾーンに入るのは自己責任で

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