事故から25年、チェルノブイリ原発ツアーに参加してきた世界一周サムライバックパッカープロジェクト(1/5 ページ)

» 2011年10月04日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

太田英基(おおた・ひでき)

世界一周中のバックパッカー。9月29日現在、トルコ滞在中。1年半で40カ国以上の訪問を予定。若者の外向き志向の底上げのため、海外で働く日本人を訪問したり、旅の中で気付いたことや発見したことをWeb中心に情報発信しながら旅をしている(サムライバックパッカープロジェクト)。学生時代に広告サービス「タダコピ」を立ち上げた元起業家でもあり、根っからの企画屋。Twitterアカウント「@mohideki」では旅の様子をリアルタイムに発信している。

 →目指せ世界一周!「サムライバックパッカープロジェクト」とは?


 2011年9月18日、僕はチェルノブイリ原発事故が起こった区域に行ってきました。

 最初に述べておきますが、僕は専門家ではないですし、原子力などについてガッツリ学んだわけでもありません。それを前提にお読みいただければと思います。

 チェルノブイリ原発跡があるウクライナという国名はあまり耳慣れないかもしれませんが、旧ソ連圏の国の1つで、1991年に独立を果たしました。ウクライナの西側はポーランドなど東欧諸国とつながっており、東側にはロシアがあります。日本との時差は7時間。ウクライナのWikipedia(外部リンク)を読むと、この国の厳しい歴史がうかがえます……。

 さて、ウクライナに来た理由。旅を始める前は、ウワサに名高い「世界有数の美女大国」の実態調査を目的にしていました。

 ……が、もちろん今は異なります。東日本大震災が起こり、福島第一原発がメルトダウンを起こし、レベル7という最高危険度に陥りました。福島第一原発事故以前、レベル7の事故が起きたのはここチェルノブイリ原発しかありません。

 チェルノブイリ原発事故が起きたのは1986年4月26日。その時、僕はまだオギャーオギャー泣き叫ぶ赤子でした。当時のことは何一つ覚えていません。世の中がどれほど騒ぎになったのかも知りません。

 ただ、僕は1人の日本人として、人間として、チェルノブイリ原発事故のその後に興味関心を強く持ったので、ウクライナを訪れることに決めたのです。

ウクライナ人はチェルノブイリに行かない

 ウクライナに到着して思ったのは、予想以上に発展していたことです。地下鉄が整備されていて、首都キエフの街中には3本の地下鉄が走っています。10分も待たずに次の地下鉄がやってくるので、交通は非常に便利でした。

 ただ、街中の看板などはキリル文字表記なので、読み方も発音もサッパリ。でも、来年にポーランドと共にサッカーのUEFA欧州選手権2012を開催するので、その時までには色々と英語表記なども加わって便利になることでしょう。

 ホテルにチェックインをして早速、チェルノブイリ区域へのツアーを調べてみました。僕が到着したのは水曜日だったのですが、週末に行われているのか、「金土日の日程が空いている」と言われました。ウクライナ滞在中の予定を組みたいと思っていたので、水曜日はとりあえずツアーは申し込まずにおきました。

 同じ宿にいたドイツ人の女の子と仲良くなったのですが、彼女はウクライナにやってくる鉄道の中でウクライナ人男性と仲良くなったそうです。しかし、彼には「チェルノブイリに行くことはおすすめしない」と言われたそうです。その影響もあって、彼女は僕にも「行かない方がいい」と忠告してくれました。「今、チェルノブイリ原発を覆っているシェルター(石棺)は老朽化していて、いつ壊れるのか分からないのよ! 放射線が漏れているかもしれないよ!」と。

 実際、ウクライナ人はみんな、チェルノブイリ区域には行かないそうです。好き者の観光客やジャーナリストや研究者ばかりが興味を持つとか。

 確かにツアー中にシェルターが朽ち果てて、放射線がドッカン来るリスクはあるが、それはのみ込もう。最近チェルノブイリに訪れた人のブログなどを自分なりに確認し、現在の放射線量なら問題ないと判断して、僕はツアーに参加することに決めました。そのためにウクライナに来たのですから。

 ところが、木曜日になってツアーに申し込んだら、すでに金土は満員とのこと。驚いた、「人気あるのか?」と(最大15人のツアーなので、そこまで需要はないことは確か)。

 ほかに選択肢がないので、日曜のツアーに申し込みました。バスで1日巡るツアーで、料金は160ドル。高い……、これは金持ち先進国の人にしか支払えない金額……。

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