コラム
» 2011年10月04日 08時00分 公開

事故から25年、チェルノブイリ原発ツアーに参加してきた世界一周サムライバックパッカープロジェクト(5/5 ページ)

[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト
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今でも電力の半分を原子力発電に依存するウクライナ

 ゾーンへのツアー参加と、チェルノブイリミュージアム見学。こうして、僕はチェルノブイリ事故のその後の“場所”自体は巡ったことになります。

 しかし、僕が知りたいのは過去ではなく“人々の今”。そこで僕はウクライナ滞在中、出会った人たちとチェルノブイリ事故のその後について色々と話を聞きました。僕が会って話を聞いたのは22〜35歳くらいまでの若者たち。彼らは当事者というより、当時は子どもだったり、生まれていなかったりといった立場です。10人くらいとチェルノブイリについて話したのですが、中にはウクライナの国営企業でエネルギーに関する仕事をしている人もいました。

 僕が無知だっただけですが、彼らに教えてもらった事実で驚いたことがありました。それは、ウクライナは今でも電力の半分ほどを原子力発電に依存しているということ

 これには驚きました。いや、しかしそれ以上に驚いたことがありました。

 ウクライナ人の多くが、それをのみ込んでいるのです。原発稼働に対して強い疑問を持たずに、「安価な電力供給のためには仕方ない」という意見が多かったです。人によっては「飛行機事故と一緒だよ。利便性とリスク。どちらを取るのか」という意見も。

 彼らの姿勢には理解できる部分もありますが、「原発をやめるための努力をしよう(新エネルギーを進めていこう。代替しよう)」という意志がほぼ感じられなかったのが僕には最も衝撃的でした。すでに多くの人々にとってチェルノブイリ事故は過去であり、歴史となっていました。あれから25年、それも理解できなくはないですが、何とも言えません。

 フクシマの事故後も、特に人々の考えには変化がないようです。これにも驚きました。もちろん、国民全員ではないでしょうが、少なくとも僕が会った10人は全員そうでした。

 そういえば、チェルノブイリのゾーンでも、ミュージアムでも、一般のウクライナ人からも、誰一人として「原発管理者の責任追及」という声が聞かれなかった気がします。あたかも天災だったかのような、自然がもたらしたかのような、そう思わされているような気さえしました。「仕方ない」というような。

 しかし、その姿勢には違和感がありました。十二分に責任追及はしたのでしょうか? 何か裏で大きなチカラが動いているように思えました。

大量の電力供給か安全性か

 今回、多くのことを考えさせられたウクライナ旅行。

 日本は少なくとも脱原発を掲げて、再生エネルギーの技術革新に取り組み、近い将来に原発を他発電手法によって代替していく努力をしていく必要があると思います。そうすれば、そこから世界中の国を変えていける可能性もあるのではないのでしょうか。

 「僕らはヒロシマ・ナガサキがあったにも関わらず、フクシマを起こしてしまったんだ」と改めて考えさせられました。人災だと言われていますが、人間であるがゆえに完璧はありえません。0.0000001%のリスクでも、一度起こると人間に管理不能なのであれば進めるべきではありません。

 大量の電力を消費する現代のライフスタイルを急激に変えることが難しいのも事実。ウクライナの人々はそのリスクをとって、ライフスタイルの維持を選んだのでしょう。「それは間違いなのか」と言われると、非常に難しいところ。ただ、原発事故が起きたら近隣諸国にも被害が及ぶ可能性があることも考えると……。僕ら日本人は何のリスクをどのようにとるべきなのか? 今一度、自分自身でも考えてみたいと思います。

 最後に、今回の震災によって地震や津波の直接の被害が大きかった宮城や岩手は世界から忘れ去られる流れがあり、フクシマのみが世界中の人の注目を浴びている気がします(それも多くの海外の一般人はネガティブにフクシマに注目をしているように思われます)。これについても日本政府はしっかりと考えて、対策を講じていかなくてはならないでしょう。

 いや、「日本政府に頼っていても大きな期待はできないから、僕ら日本人ひとりひとりができることをしていく必要があるんだな」と強く思いました。

※僕は自己責任でチェルノブイリツアーに参加しましたが、この記事を読んで参加する人も自分自身で状況を確認し、自己責任で参加するようにしてください。
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