運動する人は、なぜ頭の回転がいいのかできる人の脳が冴える30の習慣(1/4 ページ)

» 2011年10月27日 08時00分 公開
[米山公啓,Business Media 誠]

できる人の脳が冴える30の習慣

 この連載は書籍『できる人の脳が冴える30の習慣』から抜粋、再編集したものです。「頭が冴えない」「仕事が進まない」――ビジネスパーソンなら誰しも一度は経験がある、注意散漫で業務がはかどらない状態。それは、脳が同じ仕事に慣れてしまい、飽きてしまっているのが原因です。脳を効率よく活動させるためには、定期的なリフレッシュが欠かせません。

 脳活性化の第一人者で、医学博士の米山公啓氏は、現代の疲労を抱える忙しいビジネスマンやOLに日常生活のちょっとした工夫や行動で脳を活性化させ、「冴える脳」にする30の方法について本書で紹介しています。


 世界中の脳科学者が言っていることは、適度な運動は脳を活性化して、認知症の予防にもなるということです。

 ハーバード大学の疫学研究者ジェニファー・ウーヴによれば、70歳から81歳の女性、1万8766人の認知能力を分析した結果、週に12時間のウオーキングか4時間のランニングをしていた人は、記憶や知能テストで能力が衰える確率が20%低かったといいます。

 この結果から、週に合計1時間30分のウオーキングでも脳の機能を保てるといいます。

 神経科学者のアーサー・クレーマーの調査によれば、60歳から79歳の人たちに、ランニングマシンで、週に3回、1時間の運動を6カ月間継続させた後、MRI検査をすると、前頭葉と側頭葉の皮質容量が増えたということです。容量が増えるということは、脳の中で、新しい血管ができたり、新しい神経細胞が生まれたということです。その結果、新しいネットワークもたくさんできて、脳は活化します。

 さらに、単純な運動よりも、複雑な運動ほど脳にいいという報告もあります。

 不規則なリズムに合わせた運動の方が、単純なリズムの運動よりも、脳の神経回路に影響を与えます。単純な散歩よりもリズミカルなダンスなど、複雑な動きになればなるほど、脳は活性化していくのです。

 ダンスでも複雑な動きのダンスの方が、複雑な神経回路が必要になるので、複雑であればあるほど神経細胞のネットワークを強く広げていくことになるのです。

 このようにしてできあがったネットワークは、運動に使われるだけではないのです。他の思考でも使われるので、結局、思考能力もアップすることになるのです。

 例えば、子どもは、ピアノを習っていると算数の能力も上がりやすくなります。ピアノの練習によって脳の中に新しい回路ができて、それが音楽とは関係のない科目を勉強するときにも使われるようになるのです。

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