社食レシピ本が425万部! タニタ・39歳社長の素顔嶋田淑之の「リーダーは眠らない」(3/5 ページ)

» 2011年12月16日 08時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

ニコニコ動画出演の狙いと効果は?

 谷田さんの自社革新の中でも、一般生活者から見て一番の驚きは、谷田さん自身のニコニコ動画への登場だろう。一風変わった谷田さんのダンス(?)は界隈で話題にもなったようだが、その狙いは何だったのだろうか?

タニタのニコニコ動画公式チャンネル「ComeSta Channel」

 「私は1つのことをする時、2つ以上の効果を狙うようにしています。『1粒で2〜3度美味しい』がモットーなのですが、ニコニコ動画についても2つの狙いがありました」と笑いながら、次のように説明してくれた。

 「1つ目は社外的な狙いで、若い世代に対してタニタ・ブランドを浸透させることです。体脂肪計の発売以降、タニタ・ブランドが確立し浸透したとはいえ、それは特定のターゲット層に対してだけで、若い世代に関しては、弊社の認知度は十分ではありませんでした。それで、潜在顧客層の開拓という意味も込めて、彼らにアピールしようと考えたわけです。

 2つ目は社内的な狙いで、堅い社風を柔軟なものへと変えることです。先ほど述べたように、弊社は体脂肪計の開発・発売以降、その成功体験に執着してしまい、そこから抜け出せなくなっていました。そうした硬直化した組織風土に風穴をあけ、新しいことに積極的に取り組んでいく精神を社内にみなぎらせようと考えたのです」

婚姻届と離婚届どっちが重いのか??

※動画に登場する「山下助手」が人気キャラクターとなっている。製品紹介動画の再生数は少ないが、こうした“ネタ”動画の再生数は多い。これによってファンを作っているため、「もしネットで何か論争が起きたとしても、うちには助けてくれる人が多い(笑)」と谷田氏は話す。

 その効果は、徐々に現れてきているようだ。社員食堂レシピ本の大ヒットとも相まって、家電量販店などでも、若い来店客が競合大企業の商品より先にタニタの商品を手に取るようになったという。それは業績面にも現れ、長期不況に伴う個人消費の低迷による売上減少分を補って、業績の維持に貢献している。

タニタが10月24日に開設したFacebookページ。こちらからも若い世代にアピールする狙いがうかがえる

 組織風土の革新に関しては、次に述べる諸々の策との相乗効果で、変化の兆しが見えてきているようだ。

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