キーワードは「パーソナル」「パブリック」「ポップ」――進化するデジタルサイネージ中村伊知哉のもういっぺんイってみな!(2/2 ページ)

» 2011年12月30日 18時30分 公開
[中村伊知哉,@IT]
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平時でも災害時でも社会の役に立つメディアへ

 ところが。3月11日を機に、デジタルサイネージ業界は、あらためて自分自身を見つめ直すことになった。節電の要請。自粛ムード。灯火の消える都会。そんな中でサイネージはどう身をこなせばよいのか。業界は悩んだ。考えた。議論した。

 首都圏では一斉にスイッチを落としたサイネージも、世間が平静を取り戻すにつれ、徐々に点灯していった。被災地及び全国で必要な情報をお届けできるよう努めた。平時でも災害時でも社会の役に立つメディアへ成長したい。そう考えた。

平時でも災害時でも社会の役に立つメディアへ

 そこで、2011年、日本のサイネージには、またも新たなトレンドが重畳してきた。「べんり+つながる+みんな」の3傾向である。

1.べんり=役立つ

 役に立ちたい。街のあちこちで災害情報や電力消費状況を表示したり、学校や病院でも働いたり。広告メディアから働くメディアへの拡張だ。

2.つながる=ネットワーク

 ネットワークでつながっていなけりゃメディアじゃない。スタンドアロンの看板型が多かったのだが、ブロードバンドや地デジとつながって、街を面的に被うシステムになる。オフィスや家の中もマルチデバイスが連結する。

3.みんな=ソーシャル

 ソーシャルサービスと連携したり、誰もが簡単にコンテンツが作れたりするメディアへ。プロが作るコンテンツから、みんなで作るコンテンツへの展開だ。

 この傾向は早くも6月に開催された展示会「デジタルサイネージジャパン2011」でも明確に見ることができた。

 役立つ系では、大日本印刷や凸版印刷などが大学、病院、行政、オフィス向けのサイネージを提案。PDC社は災害時にも働く太陽電池のサイネージを展示。

 つながる系では、家庭内を対象とするNTTの「ひかりサイネージ」や、日立の「クラウド」サイネージなど、サイネージがインターネットメディアであることが鮮明に。地デジの電波で配信するモデルも複数見られた。

 みんな系では、Twitter災害情報の表示システムなどソーシャルメディアと連動したモデルやサイネージ向けコンテンツ制作ツールなどが提案されていた。

 こうしたトレンドが定着するのはこれからだ。でも恐らく、来年の展示会ではまた新しい傾向が台頭しているだろう。それほどサイネージの進化は高速だ。当面、目が離せない。

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