“でっち上げ記事”を書かれたら、どうすればいいのかちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(1)(2/5 ページ)

» 2012年01月06日 08時25分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
中田宏さん

ちきりん:マスコミがいかにいいかげんな仕事をしているか、よく分かりました。新聞社の政治部には「大臣のクビを取ったら大手柄」といった古い感覚があって、仕事のインセンティブがおかしな方向に向いてしまっていますよね。

 理由はなんであれ中田さんのような目立つ政治家のクビを取るということがインセンティブになっている。こういうマスコミの時代錯誤が変わらないと、優秀な人で政治家になりたい人がなかなか出てこないだろうなと感じました。中田さんだけでなく、今後も多くの政治家のクビが、くだらない理由で飛んでしまうかもしれません。

中田:政治家になって「知ったこと」「見たこと」「経験したこと」――このことを書いておくことはとても大事なことだと感じました。また横浜市長としてどんな仕事をしてきたのか、そこでどんなことが起きていたのか――そのことを国民が知ることが大切だとも感じました。どこの自治体も大なり小なり同じ構造ですから。

 ちなみに横浜市長を経験して、いま生きているのは僕だけだし(笑)。

ちきりん:そんな言い方は怖すぎますよ(笑)。でも、それが今回の本を書こうと思われた動機でもあるわけですね?

中田:現存する横浜市長経験者として、経験したことを黙っているのではなく、伝えなければいけないに決まっている。

ちきりん:そうですね。この本に書かれている情報は本当に貴重だと思います。ビジネスの世界にも大変なことがたくさんありますが、大抵の場合、企業はそういうトラブルを何とかして避けようとします。

 例えば、会社の周りに毎日毎日右翼の街宣車が来れば、多くの企業は裏でなんらかの手を打ち、いつのまにか街宣車はどっかに行ってしまう(笑)。

中田:そのための総務部長がたくさんいますからね(笑)。

ちきりん:ですね。企業の闇の部分をうまく処理するのが総務部長の役目だったりするわけで、真正面から戦うというのは、ものすごく怖いことですよね。総務部長とはいえ生身の人間ですし、その人にも家族がいますから、自分だけは耐えられても、周囲の人にも脅しをかけられれば、人間なかなか耐えられない。中田さんも横浜市長時代に、さまざまな脅しを経験されてきたんですよね?

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