中田:僕の場合、直接的に脅しをかけられたこともあったけど、周囲の人に何らかの要求をしてきたということもあった。だから、周囲の人もかなり不快だったはず。
そうは言っても対抗手段がなかったので、騒ぎが収まるのを待つしかなかった。例えば、警察とか気概ある議員とかが助けてくれるわけではないから、そうせざるを得なかった……というのが問題なんです。
ちきりん:そういう状況を変えていくには、どうすればいいのでしょうか? 一部の悪意ある報道をするメディアや記者を排除するだけでは、なかなか問題は解決しないですよね?
中田:すぐに解決する特効薬のようなものはないと思っています。しかしその第一歩として、まず現実を知り、やがてその裏側を見抜く人が増えることが大事だと思います。マスコミが発する刺激的でエキセントリックな話題にみんなが関心を寄せている限り、記者たちはそれでいいと思ってしまいます。
ちきりん:なるほど。確かに刺激的な記事タイトルを見るとついつい新聞でも週刊誌でも買いたくなってしまいますが、そのことがメディアを極端な報道に走らせているわけですね。そういう問題意識を持つことは大事かも。
中田:事実関係を知らなければ、人間というのは問題意識を持てません。問題意識を持たなければ、現状に対して表面的な良し悪しだけを論ずるようになってしまう。
そういう意味で現実を知るということは、ものすごく大切なこと。しかし現実はなかなか出にくい。例えば、会社の中の現実もあまり出てきませんよね。
ちきりん:そうですね。企業内の人はみんな知っている、業界内のこともだいたい分かる。でも部外者には何も見えていない、ということはたくさんあります。
中田:行政の現実というのもなかなか出てきません。
利権という言葉を聞いた時、世間的には「濡れ手に粟」といったイメージを持つ人が多いはず。でも、実はそうではなくて、真面目に働いている人にとっても利権があるんです。例えば、行政の職員にとって給料は利益。その利益に対しメスが入るということは、本人からすれば抵抗せざるを得ない。今まで当たり前にもらっていた利益はみな利権となるんです。
自分のことでなくても利益が削られることを「他人事」とすれば、広い意味で利益のバランスが崩れることになる。それは、やがて自分のところにもやってくる。そういった構造になっているので、特に議員仲間はみんなでそれを擁護するエネルギーになっている。
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