患者数100万人超、うつになりかけたら“猫”のように生きてみませんか郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)

» 2012年02月02日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3       

過度な市場適応はよろしくない

 せんじつめればマーケティングとは“市場適応”のメソッド。顧客や市場を読んで、競合と差別化し、自社の特徴を目立たせて売る。これを個人の生き方に当てはめれば、「会社や業界に自分を適応させて、ライバルに負けないように資格をとり、有利な転職をして、自分価値を際立たせる」ということ。この生き方は強い人なら勝ち抜けるが、めげることも多い。

 市場適応で思い出すことがある。それはJ-SOX、日本版内部統制である。会社に内部統制の仕組みを導入して、インチキ会社を絶滅する規制だ。数年前、コンサル業界で爆発的にはやり、私がいた会社では一時、内部統制案件が売り上げの9割を占めた。

 だが、それが役に立つかどうかはオリンパスの粉飾例を見ても明らかである。そう考えてコンサル会社にいた私は「内部統制にだけは絶対に手を染めない」と決意した。

 すると、私はブラブラすることになった。何しろ売り上げの9割が内部統制なのだから、ほかに仕事がない。「アサイン(案件を担当すること)がないのは、市場が求めるスキルとあなたが乖離(かいり)しているから」と上司に言われたが、私は柳に風だった。

 市場が求めることに自分を合わせるのはもちろん必要。でも“必要以上”だとすれば、答えはNO。心にジンマシンができるまで市場適合する必要はない。余談だが、今では内部統制のナの字も聞かないし、あのとき膨張した会計士たちは心にジンマシンを抱えた上に、今ではリストラされている。

猫のように生きる

 では、どう生きるべきか。自分らしく生きて、うつにならない生き方があるのではないだろうか。それは「猫のように生きる」こと。

 我が家の近所にいる猫を見てみよう(下の写真)。陽だまり探しの名人だ。ごろんとしている。「寝子(ネコ)」と言われるほど良く寝る。エサをやるときはニャンニャンして、満足するとプイッと去っていく勝手なヤツ。ブラブラしてエネルギーを放出しない。

 一方、時には狂ったように走り回ってストレスを発散するスベもある。気が向けば獲物も狙う。そろ〜りと近付き、ピシッと叩いてくわえて持ってきたのはゴキブリといったこともあるが。

 とにかく猫からは、頑張らない感じが伝わってくる。猫のしなやかな利己主義は、小笠原医師のうつ患者への言葉そっくりなのである。私は『うつにならないネコ人間のすすめ』処方本を構想中である(出版社募集中!)。

 キツくなったら「吾輩は何でもない猫である。名前はあとで誰かが付ける」くらいの気持ちで生きませんか。

関連キーワード

仕事 | 病気


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.