夏野 じゃあ若者たちは、オジさん・オバさんとどうやって対決していけば良いのか(笑)? あえて特別なことをする必要はないと僕は思うんです。邪魔する世代はもう何年かしたら表舞台から去っていきますから。
だからそれまでの間、若者世代は自信を持って自分たちのライフスタイルを貫くべきです。高度なインターネットやITを使いこなすことによって、古い世代にパフォーマンスの違いを見せつけてやれば良い。仕事でもボランティアでも構いません。やりたいことをやって、彼らにできないことを勝手に実現しちゃえばいいんですよ。
特に今の20代は、50代の雇用を守るために苦しい思いを強いられている。こんな不公平がそのままであって良いわけがない。だから新たなアイデアをITを駆使することで実現し、彼らに対抗すべきなんです。
「信ぴょう性に欠ける」だとか、「犯罪の温床」だとか、未だにインターネットに対して否定的な意見が多いのは、ネットユーザーである若者が悪いというよりも、社会がそれに付いてきていないだけ。雑誌だってテレビだっていい加減な情報があるじゃないですか? それと同じです。
だから僕はいつも大学の学生たちに、「オジさんの話を聞くのは良い。でも、絶対に言う通りにはするな」って言っています(笑)。オジさんたちの体験は古くて参考にならないですから。
繰り返しになりますが、若者は自分で良いと思うこと、やりたいことをどんどんやれば良い。先輩が止めようとするなら、振り切ってでもやるべきです。
――これからを担う世代に伝えたいことは?
夏野 ジョブズのすごさは、実現しうる技術が登場してくる前に「こんなものがあったら良いな」という、ある種ドラえもん的なヴィジョンを具体的に抱いていたことだと思うんです。あれこれ夢を抱いていたら、うまい具合に世の中の技術が発達してきて、iPhoneやiPad、Siriなど、優れたプロダクトやサービスを生み出すことができた。
つまり、未来を切り拓くプロダクトやサービスは、「今、手元にある技術で何ができるか」という、技術ベースで生まれるものではなく、「こんなのがあるべきだよな」というヴィジョンありきなんです。
僕の経験で言えば、「おサイフケータイ」が同じようなプロセスで実現を果たしたケースでした。僕がドコモに入った1997年当時は、おサイフケータイを実現するための技術的基盤はなかったものの、iモードが実現する前から「ケータイとサイフが一緒だったら便利だよな」というイメージがありました。
Copyright Career Design Center co.,ltd. All Rights Reserved
Special
PRアクセスランキング