――臨時株主総会に備えて質問状を送られていました。質問状ではあなたの解職の正統性についての認識を新経営陣候補に問うています。それを問うた理由について教えていただけますか。
オリンパス事件の中心的なものは、重大な金銭的な不正です。ただ、オリンパスの経営における不条理に関して、非常に分かりやすいのは私の解職の前後に起きた一連の出来事です。
ごく簡単に言うならば、私は2011年4月1日にそれまでの実績を評価されて社長に就任しました。そして、9月30日の役員会で私は半年間の実績を認められてCEOに昇格し、私を絶賛するような内容で10月1日に対外向けに発表されました。そして、私は10月11日付でプライスウォーターハウスの調査報告書の結果に基づいて、菊川剛会長(当時)、森久志副社長(当時)の辞任を要求する手紙を出しました。すると、10月14日に解職されました。
10月1日に絶賛されながら、10月14日に解職された私ですが、その間に何が変わったかというと重大な不正を起こした人たちの辞任を要求したことしかありません。そのような要求をするのは罪ではないと思いますし、解職される正統な理由にもならないと思います。
オリンパスの旧経営陣が去って、新経営陣が入ってくるに当たり、過去の事を認めた上で、真実の中で生きていくのか、それとも過去の事を認めずにウソの中を生きていくのか、どちらを選ぶかをはっきりさせるために、私の解雇の正統性を問うのが最も効果的な質問だと思ったのです。
――具体的に新経営陣ではどなたに反対する予定ですか。
ISSの推奨の通りに議決権を行使するつもりです(笹宏行氏、木本泰行氏、藤塚秀明氏に反対)。ただ、1人は異なっていて、蛭田史郎氏はISSは賛成していますが、私は反対です。
――4月12日に発売された新刊『解任』はどのような経緯で出版されることになったのですか。
(オリンパス事件について)時系列に沿って書いて、真実を明らかにしたいと思いました。
1月に英国に帰った時に、本を書こうと決心したのですが、そのために40ページくらいの本のあらすじと、時系列を書き出しました。そして、早川書房の人が2月下旬に来て、10日間にわたって毎日朝から晩まで話を語り、それをもとに東京でうまくまとめていただきました。
――発売日が臨時株主総会の直前になったのは偶然ですか。
日本の社会に少しでも影響を及ぼせたらと思ってこの本を書いたので、まあ時期として悪くないんじゃないですか。
――発売からまだ時間も経っていないですが、反響はいかがですか。
まあ日本人なので社交辞令なのか分からないですが、結構好意的なことを言われました(笑)。
――今後の人生についてどういう展望を描いていますか。
当面はオリンパスとの法廷での戦いが続きそうなのですが、そのかたわらで講演活動を行っています。ハーバード大学やエール大学でも講演会を頼まれましたし、ハーバードビジネススクールでオリンパス事件がケーススタディに取り上げられることにもなりました。
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