エリアごとに生き残れることが大事――猪瀬副知事が目指す、東京の危機管理(5/5 ページ)

» 2012年05月11日 16時14分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]
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エリアごとに生き残っていくのが大事

――震災が起きた後、首都機能を移転させるという議論も閣内にあったとは思いますが、都知事と相談はあったのでしょうか。

猪瀬 菅直人(前首相)さんと話し合ったことは、何の進展もなかったですよ。官邸の中で1人でパニックになっているだけでしたので。

 例えばどこかにバックアップセンターがあるとしても、先ほどのちぎれたミミズではないですが、それぞれがそのエリアで生き残るという思想であって、ピラミッド型にとらえちゃダメなんですね。ネットワーク型で島型に残っていくというか、それで先ほどお見せした東京都庁の指令センターを近くの地下から電源をとることによって、とりあえず危機の時に管理できるようにしているわけです。ネットワーク型にそれぞれの拠点があって、エリアごとに生き残っていくというのが危機管理だと考えています。

 気仙沼(の公民館の件)でも、気仙沼の消防署に連絡しても、崩壊しているわけですから連絡取れないわけですね。そこでロンドンにいき、東京から気仙沼に行くと。こういう風に今までの空間とちょっと違う考え方をした方がいいと思います。そういう情報ツールも全然違うということだと思います。

――なぜ都知事は尖閣諸島の問題について、東京ではなくワシントンD.C.で発表したのでしょうか。米国は1972年に尖閣諸島の行政権を日本に返還して以来、完全に手を切ったわけですが、米国の応援を得ようとしたのでしょうか。

猪瀬 石原都知事個人の考え方ですから、僕がそれについて言う必要はないと思います。ただ、所有権の交渉はずっと流れの中でありましたから。相続の問題が発生しますから、ようやくそういう話になってきたということはあったんですね。

――お金を払っても、尖閣諸島の主権はまだ確定していないわけですから、仮に主権が中国に行った場合、お金は戻ってこないのではないでしょうか。

猪瀬 尖閣諸島は日本の領土ですから、ちょっと質問の意味が分かりません。

――国際的には日本のものと認定されていません。日本は「日本のものだ」と言い、中国は「中国のものだ」と言っているわけで、法的にまだ確定していません。

猪瀬 実効支配をしているということですね。日米安保条約の範囲内で、米軍がそこで演習をしていたという客観的な事実があるわけですね。明治時代に日本の領土ということになったわけですし、実効支配してきたことは事実ですよね。

――鉄道会社が東京スカイツリーや渋谷ヒカリエを開発していて、東京をより魅力的にしています。民間セクター、特に鉄道会社の活躍についてどのようにとらえていますか。

猪瀬 まだ1つ残っているんです。東京都営地下鉄と東京メトロを一元化しないといけません。なぜ乗り換えでいちいち料金を支払う必要があるのか。

 それを今、改革している途中なのですが、民主党の国土交通大臣は前原誠司さん、馬淵澄夫さん、大畠章宏さん、前田武志さんところころ変わるから、もうちょっとのところまでいきながら話が決済できないんです。まったく不作為で、非常に不愉快です。

――被災地のガレキを東京都が積極的に燃やしていますが、それを不安に感じていらっしゃる方もいる中、あえてされている理由を教えてください。

猪瀬 岩手県宮古市と福島第一原発の距離は260キロ、福島第一原発と東京の距離は220キロ、東北というのは広いんですね。東京の人が福島と宮古市の区別がつかないことが問題で、宮古市の方が福島原発より遠いんですよ。

 そして我々が今、宮古市のガレキを引き受けるわけですが、我々が今後東京で何かあった時、宮古市に助けてもらうんですよ。そこに逃げていくんですから。そういうお互いさまのようなことを作り上げていくことが一番大事なことだと思っています。

 「ガレキを引き受けるのは嫌だ」とエゴイズムで言っていたら、今度は誰も助けてくれませんよね。それから、福島のガレキの処理は福島県内なんですよ。宮城県と岩手県のガレキはきちんと測定して、問題ないものを東京で処分しているということであって、全然おかしな話ではないわけです。それを一部の人が福島のガレキと一緒にしてアピールしたりするから、話が風評とかデマで広がっていって、良くないということです

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