コラム
» 2012年06月08日 08時01分 公開

「鉄道ツアー」のカラクリは、このようにできている杉山淳一の時事日想(3/5 ページ)

[杉山淳一,Business Media 誠]

社員のほとんどが鉄道ファンだからできた企画

 日本旅行では経営管理部に「新規事業室 鉄道プロジェクト」を設置している。もっとも、これ以前にも「リバイバルはと」などの鉄道ツアーがあったという。社員のほとんどが旅行好きであり鉄道ファンであり、JR西日本との結び付きが強く、鉄道会社内部の鉄道ファンとも連携できる。これが日本旅行の強みとなっている。

 「車両が引退する、列車が廃止になる。そういう時に、鉄道会社の営業担当さんから『記念ツアーをやりませんか』という提案はほとんどないです。鉄道会社にとっては定期列車の座席販売が第一です。そういった売り込みに対して、こちらが旅行商品を開発して集客する。その貢献があって初めて、ウチから『さよなら列車ツアーをやらせてもらえませんか』とお願いするわけです」(日本旅行)

 さよならツアーが多い理由も、去りゆく列車や路線を惜しみたいという鉄道ファンの気持を理解しているからだ。特急車両やブルートレインなどの花形車両だけではない。『ありがとう113系阪和色』は「通勤電車のひとつの塗装が終わるだけ」という地味なネタである。しかしそれを懐かしいと思う人は必ずいる。企画者が鉄道ファンだから、集客の見込みができ、貸切列車を仕立てられる。

 「さよなら、というキーワードには確かに集客力があります。でもそれだけではなくて、特別なルートを経由するとか、鉄道グッズの販売を組み合わせるとか、ツアーならではの体験を織り込んでいます」(同)。

 鉄道ツアーは物販でもうける、という仕組みもできつつあるようだ。日本旅行は大阪駅に鉄道の旅をテーマとした「鉄道プラザ」を運営している。ここでは旅行商品のほかに、鉄道グッズも扱っている。こうした取り組みから鉄道ファンへアプローチするノウハウを蓄積している。

大阪ステーションシティの「鉄道プラザ」。旅行商品に限らず、鉄道の幅広い楽しみ方を提案している(左)、「鉄道プラザ」の鉄道模型ジオラマ。本物の電車のコントローラーで運転を楽しめる(右)

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