コラム
» 2012年06月08日 08時01分 公開

「鉄道ツアー」のカラクリは、このようにできている杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)

[杉山淳一,Business Media 誠]

「おひとりさま」をツアーに集める仕掛け

 鉄道ファンが企画するから、鉄道ファンの気持ちも理解している。個人で手配すれば安いきっぷもあるし、完全な自由行動で気兼ねなく過ごせる。そんな人々を鉄道ツアーに呼ぶにはどうしたらいいのか。いかに個人旅行ではできない体験を組み込むか、である。

 貸切列車を仕立てるツアーは「個人旅行ではできない体験」が売り物になっている。対象の車両が普段は走らない特別なルートを経由したり、途中駅で停車時間を長く取って、車両を心置きなく撮影できるように配慮したり。特製ヘッドマークを掲げて、そのヘッドマークをオークション形式で販売したりする。車内でも限定グッズの販売会が行われる。

 「割高でも参加してよかった」という仕組みづくりも重要だ。例えば「記念乗車証」。これはその列車に乗った証明書だ。昔ながらの厚紙のきっぷ(硬券)を模したものや、もっとも風景のよい場所で撮影された写真などが使われている。定期列車の最終便では、ツアー参加者のみ配布される。みどりの窓口で指定券を買った人はもらえない。食事付きツアーの場合、乗車記念弁当が配布される。これも専用の「引退記念掛紙」が使われる。引退列車を背景にした記念写真を撮る時間を作ったり、その際に日付が入った記念ボードも用意する。

 旅行会社が鉄道のチケットを販売した場合の手数料は、わずか5%だ。旅行会社にとって、観光を伴わない鉄道ツアーは「手間ばかりかかってもうけは少ない」ともいえる。日本旅行も「列車を貸しきったさよならツアーの場合、集客のみでは利益が出ない」という。しかし利益は物販で確保しているとのこと。列車に使用した記念ヘッドマークをオークション形式で販売し35万円で売れたという「成功例」もあるという。

「サロンカーなにわ」の客室

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