それはこの話をあまり突っつくと、「そもそも、なんで民事不介入の警察が痴話ゲンカに首を突っ込んだの?」という読者や視聴者の素朴な疑問に答えなくてはいけないからだ。ストーカーやDVの被害を訴えても、腰が重いと批判されているくせに、父親が子どもに会いにいくだけで、わざわざ出動したのはなぜか……という謎に光があてられる。
これはマズい。実はこの「別居の妻」というのが、警察庁長官官房会計課監査室長という重要なポストにいた警察OBの愛娘で、おまけにそのOBというのが、元警視総監の仁平國雄氏が会長を務める天下り組織「財団法人 日本交通管理技術協会」の常任理事。このヤマを扱うと、OBが自らの威光をつかって警官を「娘のボディガード」がわりにつかった可能性にも言及しなくてはいけない。
マスコミと警察の関係は、アントニオ猪木とタイガー・ジェット・シンのそれとよく似る。一見、激しくやり合っているように見えるが、実はもちつもたれつの関係で仲がいい。だから、本気で相手が嫌がることは控える。銃発砲事件ぐらいで、事を構えたくないというホンネもある。
かくして、Aさんは関係各位の大人の事情と、警察の威信を守るため、「警官から銃を奪った凶悪犯」としてムショに送られた。
「納得はしていません。この3年間ずっと悔しい思いをしてきましたよ。でも、どうしようもないでしょ。警察を敵にまわすなんてことができるわけがない」
悔しそうに言うAさんに、私はうなずくことしかできなかった。
マスコミが伝えない。いや、ハナから伝えるつもりもない「灰色受刑者」たちは、今日もひっそりとシャバに戻っている。ゴビンダさんは、本当にラッキーだ。
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