会社が大きくなって、手にしたモノ、失ったモノ新連載・佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(4/5 ページ)

» 2012年09月03日 09時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

単純労働が増える?

松井:ゴアテックスを作っている「WLゴア&アソシエイツ社」という会社があります。この会社は、1つの組織が最大150人までだそうです。なぜなら、それ以上増えると誰が何をしているのかが分からなくなってしまうから。150人以内であれば顔と名前が一致して、誰が何をやっているか分かるサイズだと言っていました。

 この150人の中に、マーケティングも製造も開発もみんな入れてしまうそうです。例えばサポートに苦情があれば、開発にそのままもっていける。そしてその150人は閉じているので「お前のせいでこうなった!」という話ができて、組織がものすごく機能するとも言っていました。

佐々木:部署が分かれていると、意思の疎通が難しくなりますからね。

松井:そうなんですよ。アップルもそうでしたけど、誰かから苦情がくれば「どっかの部署の人が苦労しているんだろうなあ」といった感じでした。なのでパナソニックが小さなチームを作ることには、賛成ですね。

佐々木:私は以前からこのように言ってきました。「垂直統合された企業というのは崩壊して、グローバルプラットフォームの上で巨大プラットフォームと、それに対抗する小さなモジュールに二分化するだろう」と。

 『グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる』という本を書かれたコンサルタントの倉本由香利さんは、その中で興味深いことを指摘していました。グローバル・プラットフォームを作るグローバルエリートたちと、それに対抗してローカルであってもモジュール化してビジネスをやっている人たち。この2つだけじゃなくて、もう1つ「ローカルサポート」といって、単純労働をやってその仕組みをサポートする人たちが大量に生まれてくるだろうといったことを指摘していました。

松井:私もそういう仕組みが生まれると思うのですが、大量に生まれるのかな? という疑問があります。

佐々木:仕事自体がですか?

グローバル化が進めば、働き方はどのように変わるのか

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