会社が大きくなって、手にしたモノ、失ったモノ新連載・佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(2/5 ページ)

» 2012年09月03日 09時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
佐々木俊尚さん

佐々木:そうですね。1990年代くらいから「生産のグローバルネットワーク化」と言われてきましたが、その場合のグローバルネットワーク化というのは自社工場を外部化するという意味でした。つまり海外で生産するということですね。

 日本の場合は中国に進出して、向こうに現地工場を作って、最終的に日本にもお金が戻ってくる、というシステムをつくろうとしていました。ところが実際にはそういう形では進まずに、富の分散が進みました。

 松井さんはアップルを事例に挙げていらっしゃいますが、製造業全般で富の分散が進むのではないでしょうか。

 例えば自動車は垂直統合、いわゆる組み合わせビジネスですよね。モジュール(システムを構成する要素となるもの)同士を組み合わせるところに、自動車メーカーの神髄があると言われていますが、そこの技術力がEVになると不要になってしまう。

松井:「電気屋さんでもつくれるじゃん」といった話になってきますよね。以前、自動車メーカーのテスラ(Tesla)から「ウチで働かないか?」というお誘いをいただいたのです。テスラのオフィスはものすごく小さいくて、そのときに「何だ……こんな少人数でクルマってできるのか」と思いました。結局はお断わりしたのですが、そこは営業とサービスサポートを入れて300人くらいだったので、驚きましたね。

佐々木:昔から「これからはBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)が進むかもしれない」と言われてきましたが、いまはかなり進んできていると言えるでしょうね。

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