「震災がれき」騒動に乗じて、被災地に運び込まれている怪しいモノ窪田順生の時事日想(3/3 ページ)

» 2012年10月09日 08時01分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]
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 例えば千葉県某所では、鉄鋼スラグを谷に棄てているうちに山のようになり、その上に土を被せた場所が存在している。つい最近、その山の近くをGoogle マップで上空から見たら、すぐ近くの港に大きな黒い山ができていた。行き場がなくなった鉄鋼スラグを「運搬費」などの名目で引き取り、不法投棄をしてしまう「逆有償取引」をやっていることが考えられる。ちなみに、その場所を借りているのは、地元の人間ならば誰もが知る暴力団関連企業だ。

 こういう話はメディアは報じない。なぜかというと、鉄鋼スラグというのは日本経済に貢献しているからだ。現在、国内で鉄鋼スラグは道路工事などに年間3800万トンも使われている。もしこの膨大な「産廃」の処理費を製鉄メーカーが負担をしなくてはいけないということになると、コストが跳ね上がる。このご時世にかなり好調な鉄鋼輸出にブレーキをかけてしまうというわけだ。

 巨大な産業の陰には、必ず何かを押しつけられる人がいる。

 原子力発電所が人口の少ない「僻地」に造られるのと、鉄鋼スラグが「被災地」に集められるという問題の根っこは、まるっきり同じだ。

 福島第一原発事故が起きる前、「原発が爆発するかも」なんて訴えていたメディアはない。本当にアブないことというのは、新聞やテレビなんかで取り上げられることなく、病のようにひっそりと進行していくということかもしれない。

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