「フツーの真面目な人」は、会社から捨てられやすい人でもあるサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2012年10月15日 08時30分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

企業のリストラ基準はとてもシンプル

 企業がお払い箱にしたい人、という言葉だけを聞くと、多くの人が「要するに使えないヤツでしょう?」とイメージします。そう、かつては仕事ができない人をまずは整理、ということに企業は取り組んでいました。しかし、自分の勤めているところが「希望退職者を募ります」という報道がなされるような事態になると、そのレベルでは済まなくなります。

 企業はリストラによって自らの規模を小さくし、単純に生き残るだけではなく、再生を目指し、さらに飛躍を視野に入れています。そうでなければリストラなんてしないですから。そこで、従業員を3つにグループ分けして考えるのです。

  1. マイナスをもたらす
  2. プラスマイナスゼロ
  3. プラスαを産み出す

 とてもシンプルですよね。まず、「マイナスをもたらす人=使えない人」です。皆さんがイメージしている通り、企業もここには確実に手をつけます。本人たちもある程度自覚があるのかもしれませんが、「割り増し退職金などを貰ってラッキーだった」などという感じで、割とスムーズに退職します。

 しかし、大幅に人を整理するというタイミングまでくると、それだけでは済みません。2番目のゾーンである「プラスをもたらさないが、マイナスでもない」という人たちに踏み込みます。そう、現状維持しかできない人は要らないのです。ところが、この層は「自分は会社のために粉骨砕身努力してきた。言われたことは忠実にやってきた。どうして理不尽な目に遭わないといけないのだ?」と、自分がお払い箱になるべき人物であることを、どうしても理解できないのです。

 それはそうでしょう。真面目にコツコツと会社のためにやってきたという自負があるわけですから。言われた通りに仕事に取り組んできた。それなのにどうして、という思いは痛いほど理解できます。ですが、企業は割と簡単に社員を裏切ります。愛社精神という言葉を振りかざして忠誠を誓わせますが、自分が生き残るために必要がないと判断したら、サクッと切り捨ててしまう。残念なことに、愛は片思いであることが多いのです。

捨てられやすい社員度をチェック

 「自分は会社にとって必要な人物だ」という気持ちは、思い込みであると自覚することはとても大切です。不謹慎な話になりますが、自分の職場で誰かが亡くなったとして、業務が完全に停止してパニックに陥ってしまい、事業が継続できなかったという例は、あまりないと思います。企業のトップである経営者が亡くなったときでさえ、そうはなりません。会社はそれでも回っていきます。

 そう考えると、自分が今の職場に不可欠な人物だと考えてしまうのは、危険なことです。本当にごく一部の人を除くと、そんなことはないからです。以下にちょっとしたチェックリストを作ってみました。自分が当てはまるかどうか、トライしてみてください。

捨てられやすい社員度チェックリスト

1)上司の指示に従っていれば大丈夫だと思っている

2)生活時間以外のすべてを会社の業務に使っている

3)他の部署でどんなことが行われているか知らない

4)社外に仕事関係の親しい知り合いが一人もいない

5)スキルのアップデートにまったく興味が持てない

 このリストは、「真面目にコツコツと頑張ってきたけど、企業にとってはプライマイナスゼロ」という人の傾向から作ってみました。

 2つ以上チェックがついた人は、捨てられやすい社員である可能性は高く、しかもお払い箱になった後に、たちまち困ってしまうというタイプでもあります。忠誠を誓った企業から裏切られるわけですし、なによりも「自分はなにもミスしていないし大丈夫だ」と思い込んでいるわけですから、ショックも大きいと思います。退職しないで済むようにと、どんなに愛社精神をアピールし、今までの貢献を伝えても無駄です。そう、先に書きましたが、それは片思いに過ぎないのですから。悪い言い方をすれば、相手にその思いを利用されていただけです。

 もちろん、すべての企業がこうであるというわけではありません。しかし、多くの企業は悪い事態になれば、愛社精神の塊のような社員を相手にでも容赦なくリストラを進めるということは、今までの歴史が証明しています。

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