「言いたかったこととは違う」――なぜ取材された側はこう言うのか相場英雄の時事日想(3/3 ページ)

» 2012年11月15日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]
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 もし読者が取材される側になったらどう対応すればいいのか。

 記者やリポーターに「向けられ」、「ツマミ」を回避するにはどう対応したら無難か。答えはシンプルだ。

 自分が一番強調したい事柄を何度も相手に伝えるのだ。誘導尋問のような形で話を振られても、コメントの芯がブレなければ記者はあきらめざるを得ないからだ。取材される際はどんな記事、番組構成になるのかを想像し、芯がブレないコメントを発し続けることをお勧めする。

 冒頭でも触れたが、若きビジネスパーソンが取材される側に立つ場面はあるはず。所属する企業の新商品のアピール、あるいは新戦略の概要などだ。広報部にベテランがいればある程度の振り付けはしてくれるだろう。だが、私が知る限り、この手の取材に慣れているのは大企業が大半。中堅中小の場合、事前のリハーサルなしでツマミを狙う取材陣に対峙(たいじ)することになるのだ。

 ここで1つ提案。橋下大阪市長や他の著名人で常にメディアと対峙している人物のブログやSNSをチェックしてみるのはいかがだろう。取材時のツマミや向けなどの過程が綴られているケースがある。取材される側、記事や番組を構成する側の立ち位置の違いが鮮明に分かるはずだ。

 取材される側の心得を記すことになるほど、昨今のメディアの取材力とモラルは低下しているのだ。

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