ダルビッシュが目指す「史上最強」の投手像臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/3 ページ)

» 2012年12月06日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]
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メジャーに対する異常なまでの拒否反応があった

 メジャーに対する異常なまでの拒否反応。その根底には子どものころ「外人」となじられた陰湿なイジメの体験があった。自分は日本人だ。ファンや自分の子どもたちのためにも、日本でプロ野球選手として生涯活躍し続ける。こういう思いが、ダルビッシュの中には膨らんでいた。

 3年前の第2回WBCに出たのはメジャーから注目されるためでも、売り込むためでもなかった。メジャーに行かないのは実力がないからではない。力があるのにメジャーにまったく見向きもしない日本人がいる。ダルビッシュは、それをメジャーリーガーも出場する世界大会で証明しようとしたのだ。

 しかも、もともとダルビッシュは海外が好きではなかった。東北高の2年生時には日本代表メンバーに選ばれながらも「肩痛」を理由に辞退。日本ハム時代のV旅行も何度か欠席していたほどだ。その頑固なまでの思いが大きく心変わりした理由は、メジャー移籍にあたってコメントしたダルビッシュのこの一言にすべてが集約されている。

「日本では、もうフェアな勝負ができないと思った」

 日本では自他ともに認める「最強投手」になった。しかし戦う前から相手が白旗を掲げ、勝つと分かっている勝負が面白いはずもない。だからこそ新たな刺激を求め、より上のステージを目指そうとメジャーの世界へ飛び込んだのだ。

 トーリ氏は「いままでメジャーリーグに来た日本人投手の中で『ナンバー1』となれる可能性がある」と評したが、本人の目標はそんな小さな枠組みではない。ユウ・ダルビッシュこそが「史上最強」の投手――。近いうちに世界の誰からも、そう認められる日が来ることを信じてダルビッシュは今日も人知れず懸命に努力を重ね、汗を流し続けている。

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