英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。
前回は「Context(コンテクスト)」という、日本人でもほとんどの人が知っている単語が、これからのビジネスで大いに注目されるだろうと書きました。流行語としても、これからメディアやネット上で見かける機会が増えるでしょう。
そして最後に、日本はハイコンテクスト社会で、ひと言で言えば「決まってしまっていることや思い込みが多く、自由度が低いのではないか」とも書きました。私は考え方の柔軟度が、もっとあってもいいと日ごろから思っています。あらゆる分野でそうなのですが、この連載のテーマであるビジネス英語についてもそう感じることがあります。
例えば、英語のメールを書くとき。普通は手元の辞書を引きながら、あるいは英辞郎などのネット辞書を使いながら、「面倒くさいなあ」と思いつつ、直接入力モードでキーボードを叩いて「Thank you very much」などと入力するものだと思っていませんか? 日本語入力には結構いろいろな工夫をして、自由な発想で処理することができる人でも、英語となると、キーボードを英語用に切り替えて、日本語とは別な入力をしなければいけない。そう思い込んでいませんか?
いえいえ、そんな面倒なことをしなくて済む方法があります。それはIME(文字入力ソフト)の単語登録を活用する方法です。
Google 日本語入力やATOKなどIMEにはさまざまなものがあるのですが、今回はOffice IME 2007を例に説明しましょう(ほかのIMEでも同様のことはできます)。
まず、言語バーの「ツール」をクリックし、「単語の登録」を選択します。
すると単語登録の画面が立ち上がります。頻繁に使う単語(もちろん日本語)をたくさん登録している人も多いのではないでしょうか。
普通は漢字などを登録するのですが、ここに英語を入れてしまうのです。試しに単語に「Thank you」、よみに「ありがとう」と入れて登録してみてください。よみは「ありがとう」でなく、「おれい」「さんきゅー」でも構いませんし、極端に言えば「あ」の一文字でも構いません。
登録が終わったら、早速実験です。ひらがなで「おれい」と入力すると、変換候補に「Thank you」が増えていて、瞬時に変換できるはずです。
この機能をどんどん使っていきます。例えば、お客さんから商品の値段などについて問い合わせがあった場合、まずは「お問い合わせいただき、誠にありがとうございます。」といった定型文から返信を書くことになります。これは流れとしては英語での問い合わせでも同じで、英語で書くなら「Thank you for your inquiry.」でしょうか。
これを単語登録しましょう。“単語”登録なのに単語ではない長い文章を入れて大丈夫かな、と思う人もいるでしょうが大丈夫です。単語に「Thank you for your inquiry.」、よみに「といあわせ」「おれい」といった覚えやすい言葉を入力すればいいだけ。ちょっと罪悪感を感じてしまうほど、簡単な英文作成法です。
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