そういう未来をみすえると、刑務所というのも、かなりビジネスの可能性がでてくる。それは、刑務所長たちの“天下り”を見ても明らかだ。
昔は刑務所の所長などを経験してきた者たちの退官後のルートは決まっていた。まず、刑務所内の売店事業や刑務作業品の販売をおこなう「矯正協会」に天下ってから、売店に品物をおろす「矯正弘済会」という企業などを渡り歩くパターンだ。
しかし、それが近年、警備会社や人材派遣会社なんかの社外監査役になるケースが増えた。背景には、施設運営の一部を民間に委託する「民営刑務所」の増加がある。
これらの企業は、刑務所から警備業務や総務業務なんかを競争入札で受注している。だから、全国の監獄施設に顔がきくOBはいろんな意味で重宝されるというわけだ。
あまりニュースにならないが、今年2月をもって矯正協会の売店事業はすべて民間企業に引き継がれた。幹部刑務官たちの天下り先がまた広がったというわけだ。
天下りをすべて悪だとは言わない。ただ、せっかく所長やらを経験したのだから、「矯正の場になっていない」という問題にも目を向け、こっちのほうも民間の力を使って解決していただきたい。
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