“お母さん大好き!”日本人が増加中――お父さんは人気がない?博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人(2/3 ページ)

» 2013年05月20日 08時01分 公開
[吉川昌孝,Business Media 誠]

尊敬しているのも母親

 「お父さんとお母さんどっちが好き?」は子どもに聞いてはいけない質問のひとつだそうですが、生活定点では大人にずっとそのことを聞いています。1998年からこの質問をしていて、その年は父親優勢だったのが、2002年に母親優勢に逆転。現在までその傾向は続いていて、最近ではさらに強まりつつあります。

 性別で見ると、特に女性でその傾向が強く、1998年の53.7%から2012年は61.3%と7ポイント以上もアップ。男性も女性ほどではありませんが、1998年の39.2%から44.3%と5ポイント以上アップしています。

 贈り物も母の日優位、尊敬されるのも母親優勢、ということで父親の存在感はどんどん薄くなっているようですが、家庭での父親の影響力、例えば子どもに対しての力の変化はどうなっているのか見てみましょう。

父親の力は落ちてはいない

 「昔に比べて子どもに対する父親の力は落ちたと思う」という質問がありますが、その数字はどんどん下がっているのです。

 つまり父親の力は落ちていない、という傾向が出ています。その数字の動きをみると、父親の子どもに対する力は逆に上がっていると捉えてもいいほどです。年代別に見ると、男性の20代、30代、そして女性の20代でこの傾向が強く出ています。高齢層の横ばいの傾向と比べると、若年層ほど「父親の力はまだまだ強いのだ」という意識があるように感じます。

 やはり昨今の家事参加、育メンに代表される育児分担の進展、はたまた弁当男子やスイーツ男子など料理に熱中する層の登場も影響しているのでしょうか。会社の時間だけでなく、家庭の時間も積極的に役割を果たそうとする男性の登場が、こうした傾向を後押ししているのでしょう。

 ただし、まだまだそうした傾向は一般化していないため、父母を一対で比べると、母親に軍配があがる。贈り物も尊敬も母が優勢になってしまう、ということなのかもしれません。

 では、最後にこれからの親子関係や夫婦関係から、新しい父親像、母親像について考察してみたいと思います。

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