就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
まだ5月だというのに東京はすっかり夏の日差し。先日、打ち合わせのときに「こう暑くなってくると、かき氷でも食べたくなってきますよね。まだ早いか(笑)」と言ったところ、編集長の吉岡綾乃さんは「そうですね。本当に夏になって暑くなってしまうと、人気店は大行列だから……混むお店は、今のうちに食べにいくべきですね。私もこの間、かき氷を食べるためにドライブしてきましたよ」と真顔で答えながら、その時の写真を見せてくれました。私は美味しそうなかき氷の写真を見ながら、その行動力はどこからくるのかと感心するとともに「思い立ったら吉日」という、ある話を思い出したのです。
仕事柄、転職相談は頻繁に受けます。転職サービスのプロデュースをしているので、勘違いされがちですが、相談を受けた方に、私から転職を勧めることはほとんどありません。まずは「どうしても転職しなければならないのか」としつこく聞いて、なるだけ思いとどまらせるようにしています。場合によっては転職をした方がいいケースもありますが、経験上、それほど多くはありません。転職したいという理由のほとんどが「コミュニケーション不足から来る人間関係の問題」か「将来への漠然とした不安」のどちらかで、摩擦を恐れず話をしたり、改めてよく考えたりすれば解決することだからです。その手間を惜しんで「転職したら、今よりも良くなるかも」と、妙な期待をしているにすぎない。その期待を壊すところから話を始めるのです。
当然、労働環境が劣悪だとか、職場で陰湿ないじめが横行しているとか、どうしてもそりが合わない人がいて夜も眠れない日々が続いているとか、そういう深刻な事情があるなら話は別です。しかし転職希望者の中には、今の場所だから学べること、今の場所だからできること、今の場所だから享受できる特典(のようなもの)、といったことを軽く考えている人が多すぎます。
確かに不満があったとしても、それよりも得られるものが大きい場合「今のところでもう少し頑張ってみてもいいのでは?」と話すことで、多くの人は転職を思いとどまり納得して、また働きだします。会社を経営している方々に怒られそうですが「会社から得るものがなくなるまで頑張ってみたら?」と、私はアドバイスするようにしています。
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