「いつかは転職したい」では転職できない理由：サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見！」（2/3 ページ）

[サカタカツミ，Business Media 誠]

　とにかく、まずは「働いている間に会社から吸収できることや与えてもらえるものはすべて受け取ってから転職は考えるべきだ」と。それくらいどん欲な姿勢でいることは、本人の成長にもつながりますし、成長することで仕事ができるようになり、結果的に会社にとってもプラスになります。気がついたら大事な仕事を任されるようになっていて「転職相談していた時代が懐かしいですね」という笑い話を、私とするようになった相談者もたくさんいます。せっかく縁があって入社したのだから、これも言い方が悪いですが「もういいや」と思うまで付き合うのが理想的というのが、私の「働く人の立場になった場合」の転職に対する考え方です（当然、経営者視点に立てば違う話になりますが、それはここでは言及しないことにします）。

経歴や能力以上に転職市場での価値を左右するコトとは

　しかし、それでも転職したい、あるいは転職をせざるを得ない環境にある人は、急いで動くべきです。いつかは転職したい、良いところがあれば転職を考えたい、そう思っている人は「転職できない」のです。なぜか？　それは、転職は「時間との戦いである」からです。人材業界ではいわば常識のようなものなのですが、多くの人は知らない話。そこに気がつかないで転職に失敗してしまうケースは、後を絶ちません。なぜ時間との戦いなのか、以下シンプルに説明していくことにしましょう。

　まず「求人」について考えてみてください。例えば、転職情報サイトや転職斡旋サイトを見ると、たくさんの求人が掲載されています。世の中には実は多くの仕事がある、ということが垣間見えるはずです。例えばそれが求人広告だとしたら、広告掲載料金を払って載せているわけですし、紹介だとしたら就職したら斡旋に対する報酬として、年収の一定割合のギャランティが人材斡旋会社に支払われます。そう、忘れがちですが、求人とは企業が「お金を払ってまで」人が欲しいと活動することなのです。逆に考えると、それくらい「可及的速やかに」人が欲しいわけです。

　もちろん、半年以内にこのくらいの増員、という緩やかな求人がないわけではありません。それでもスパンはその程度です。「3年以内にこのくらいの人を」などと悠長に考えている企業はありません。もうお気づきですね。転職市場に求められている人は、仕事ができることもさることながら「いま転職できる人＝いまウチで働いてくれる人」なのです。いいところかあれば、とか、いつかは、という人は、こと転職市場における価値は、高くないといっても過言ではないでしょう。市場価値といえば能力や経歴がすべてだと思われがちですが、実はタイミングの方が重要であることも少なくないのです。