この時期に内定が出ない就活生の「敵」とは?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(1/4 ページ)

» 2013年06月03日 06時55分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


煮込みの写真を見ながら、部下への指導法を考えてみた

 「最近、この年になってようやくビールがおいしいと思えるようになりまして……そうしたら、なんだか飲み屋さんへ行くのががぜん楽しくなってきちゃったんですよ。オシャレ居酒屋みたいなところよりは、赤ちょうちんとか、もつ焼き屋さんとか、飲み屋らしい飲み屋が好きですねぇ、断然」と、謎の告白を始めた編集長の吉岡綾乃さんと話していたときのこと。

 「もつ焼きを食べに行くと結果として煮込みも食べてしまうのはなぜ?」と、月曜の朝にはふさわしくない話になったので、私は「煮込みには豆腐が入っているから、健康にいいという免罪符じゃないですか。ほら、ネギも入っているから、免疫力アップにも役立ちますしね!」と力強く意見を具申してみたのですが、綾乃さんには華麗にスルーされた上、「最近、部下に指摘した後に、あの指摘をすべきだったのかなと、いろいろと考えることが多くなって……」と違う話をされてしまう展開に。そういう私も「そういえば、就活生たちの敵が出現する時期になったな」と、これまた別のことを考えてしまった午後なのです。

(写真と本文は関係ありません)

就活生の本当の敵は、友達でも採用担当者でもなく「親」である

 この時期に内定が出ていなくても、就活生は焦る必要はありません。卒業までに進路を決められればいいわけですし、それこそ卒業してから改めて進路を考えても、まったく問題はありません。確かに既卒者の就活が厳しいのは事実ですが、以前よりはずっと広き門になっています。ただ、周囲の友達に続々と内定が出て、彼ら彼女らが卒業旅行の相談を始めたり、髪の色を変えてきたり(ここ数年、内定者の一つの証のようになっています)リクルートスーツを脱いだりしているのを目の当たりにすると、焦ってしまうのは仕方ないのかもしれません。

 こんなとき、就活生の最大の敵は、周囲の友達でも企業の採用担当者でもなく、自分の親や兄弟の身内であることが少なくありません。本来なら励ます立場にあるにもかかわらず、いや、励ます立場であるということを自覚しているからこそ、結果的に「自分なりに」頑張っている就活中の子供たちを追い込んでしまうことになるのです。さらに始末の悪いことに、当の本人たちは追い込んでいるという自覚はなく、自分は悪いことはしていないと勘違いしていることもあります。

 親や兄弟が「今内定が出ていない」就活生を追い込んでしまわないために、どんなことに注意をしなければならないのか。今回は、気がついたら我が子の敵になってしまわないために、親は何をするべきなのか、どんなことに気をつけておくべきなのか、それを少し解説していくことにしましょう。

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