この時期に内定が出ない就活生の「敵」とは?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/4 ページ)

» 2013年06月03日 06時55分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

「答えのない質問」が就活生をいらつかせる

 就活生たちは、就活を始めるときに「自分は将来どんな仕事がしたいのか」とか「どういう企業に入るのが向いているのか」というたぐいのことを、それなりに考えています。まったく考えていなければ、あれだけたくさんある新卒採用を実施している企業の中から「ここを受けてみよう」と思えないですから、必ず考えているのです。ただ、その考え方が正しいとは限りませんし、考えた結果が正解ではなかったのかもしれない。ですが、必ず考えています。それでも思うように成果が出なくて、結果として内定が出ていないというのが今の状態なのです。しかし、就活生の親の多くは、ここで無神経な一言を発します。

 「結局、お前のやりたいことはなんだ?」

 聞いてどうするのでしょう。いろいろと考えて採用試験に臨んだはずなのに上手くいかなかった現状を打破するために、今改めていろいろと考えている就活生は少なくありません。しかし、敵に回ってしまう親の多くは「なにがやりたいのか?」と無神経に質問するのです。やりたいことはあったけど、できなかった、少なくとも「できそうな会社には受け入れてもらえなかった」現状なのにもかかわらず、やりたいことを聞かれても、就活生は答えに窮してしまうのです。そして、親はさらにこう言います。

 「そういうことをきちんと考えていないからダメなのだ」

 では、親が考える「きちんと考えたやりたいこと」とは何か? それを指し示すことができる親はそれほど多くないでしょう。そもそも、今の自分の仕事でさえ、学生時代の自分がきちんと考えた結果であるという人は多くないはずですが、それを棚に上げて「きちんと考えない」ことを非難してしまう。だからといって「きちんと」が何を指しているのか、その正解も持っているわけではない。このタイミングで「やりたいこと」を聞くことは、誰も幸せにならないのです。

 しかし、同じ質問でも、一言添えるだけで展開は大きく変わります。

 「お前が、本当にやりたいことはなんだ?」

 就活生の多くは「建前」に縛られているケースが少なくありません。本当にやりたいことは横において「こういうことがやりたいことだ」と正解のようなもの、親の期待のようなものに応えようとしていることが多いのです。その呪縛を解き放つ役割は親にしかできません。この時期だからこそ、改めて本音を聞き出し、それを実現できるための方法論を一緒に考えることで、敵ではなく、味方になることができるのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.